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しおりを挟む数年して、病弱だったなんて思えないほど、アレクセイは武術にも力を入れて学ぶようになっていて、文武両道な王子となっていて、ヴェロニカのことを溺愛してやまない男性に成長を遂げていた。
(見違えるほどにかっこよくなられたものだわ)
「ヴェロニカ様が、羨ましいかぎりですわ!」
「本当に。いつ見かけても、仲睦まじくしておられるのですもの」
ヴェロニカは、令嬢たちに取り囲まれて苦笑していた。
「何か秘訣とかあるのですか?」
「えっと……」
「失礼。すまないが、私の婚約者に用があるんだが、返してもらえないか?」
「も、もちろんですわ!」
きゃっきゃっとその手の話題を振られるたび、ヴェロニカは困った顔をしているせいか。こういう時にこうしてアレクセイが、颯爽と現れてはヴェロニカのことを助けてくれるせいで、益々羨ましがられることになり、話題にのぼっていることまで考えていなかった。
そんなヴェロニカのことを令嬢たちは、こぞって羨ましがったほどだ。
王子の婚約者となったヴェロニカが、ヴィクトリアたちに会うことになり、まさか、そんな大逆転が起こっているとは思っていなかったヴィクトリアは、大いに悔しがっていて、その顔は凄まじいことになっていたのだが、昔のように余裕もなく婚約者にドン引きされているのにも気づいていなかったようだ。
「ヴェロニカから聞いていたより、鬼のような形相の令嬢だな。心が顔に現れているようだ」
「っ、」
しかも、実の両親は娘が王子の婚約者になっていることに驚きつつ、何とか取り入ろうとするのもアレクセイが冷めた表情を見せて一蹴してくれたことで、ヴェロニカはすっきりすることが出来た。
こうして、ヴェロニカはアレクセイと幸せいっぱいで笑顔溢れる幸せな家庭を築くことが出来たのだった。
逆にヴィクトリアは、ヴェロニカが玉の輿に乗ったことに対抗心を燃やしすぎて、折角の婚約を自ら台無しにして破棄されることになってしまい、両親からもヴェロニカよりヴィクトリアの方を追い出すべきだったと愚痴を言われる毎日にイライラを募らせる続けて、新しい婚約者も中々見つけられなかったようだ。
厄介者と見放されて、ヴィクトリアが修道院に入ることになるのにそんなに時間はかからなかったようだが、ヴェロニカは妹がどうしているかなんて気にもとめない一生を送ったのだった。
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