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しおりを挟む(まさか、王宮の客室に泊まれることになるなんて思わなかったから、びっくりだわ)
王女のアンヌマリーは、彼女の双子の弟のアレクセイが危篤だと言うので帰国したようなのだが、元々病弱なようで年に何回か危篤状態になるのだと馬車の中で、もうすぐ王宮に着くという頃になって、ケロッと話してくれたのには、驚いてしまった。
(それ、絶対、大丈夫ではないわよね……?)
今回もそんな大したことにはならないわよと言っていたが、その手は震えていた。
アンヌマリーいわく、元気や頑丈さを半分にせずに殆ど自分が持って生まれて来てしまったみたいだと笑いながら話してくれたが、有り余っているから返せるものなら、返してあげたいのよねと、ポロッと本音も溢れ落ちるのをヴェロニカは聞き逃さなかった。
(きっと、そのことで周りから色々言われて来たのね)
ヴェロニカは、そう思うといたたまれない気持ちになり、アンヌマリーの手をそっと握りしめていた。アンヌマリーは、それに少し驚いた顔をしながら、柔らかな笑顔を見せてくれた。
アンヌマリーの弟のアレクセイの峠も何とか越えて、しばらくしてから、ヴェロニカは会うことになった。アンヌマリーが話してくれていた通りだと喜ぶアレクセイの姿に何を話したのかが、かなりヴェロニカは気になってしまった。
(一体、どんなことを話したのかしら?)
アンヌマリーは、良からぬことでも言ったのか。ヴェロニカと目を合わせてくれずにアレクセイに別の話題を振っていたから、絶対にヴェロニカが喜べることではなかったと思っている。
それから、何かと忙しくしているアンヌマリーとは違い、ヴェロニカがアレクセイのところに通い詰めて、色んな話しをするうちに時折、起こる症状と好き嫌いの多さから、病気が何かを特定することに繋がるとは思いもしなかった。
それによってアレクセイの病状が改善するきっかけとなり、これには国王や王妃、アンヌマリーやアレクセイたちに大いに感謝されることになったのだ。
ヴェロニカが勘当されていることもあり、とある貴族の養女となってから、王子の婚約者になるまで、そう時間はかからなかった。
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