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しおりを挟む昔から、ヴェロニカは要領のいい妹のヴィクトリアに良いように利用されてきた。それこそ姉になら何をしてもいいとヴィクトリアは思っているのかも知れない。それとただ単に気に入らないだけなのかも知れないが、ヴェロニカは何故そこまでヴィクトリアに嫌われているのかもわからないまま、そんな妹にヴェロニカは一度として利用されるのを阻止できたことがなかった。
今回の騒動も、ヴェロニカの婚約者を自分のものにしたかったヴィクトリアによって起こったことだったが、普段から妹の味方ばかりをする両親はヴェロニカの話など聞く気もなく、はじめからヴィクトリアの言い分のみを信用していて、すっかり騙されていた。ヴェロニカのことを悪者扱い仕立てあげて、婚約破棄させられた挙げ句、家の恥だと家族に罵られ勘当されて、追い出されることになるまで、本当にあっという間のことだった。
元婚約者も、私と婚約していた時より、ヴィクトリアと婚約すると聞いて嬉しそうにしているのを見たヴェロニカは泣きたくなってしまった。
ヴィクトリアが、ヴェロニカに勝ち誇った顔をして意地悪く笑っていたのが見えたが、妹のそんな顔は見慣れてしまっていたが、その顔を見たら百年の恋も覚めるのではないかと思っていたが、ラドミールが自分を見ている時に可愛らしい顔をするのだから凄いとしか言いようがない。
(最悪な気分にさせるのは、いつもヴィクトリアなのよね。私が何したって言うのよ)
破棄されただけでも最悪なのに。両親に家の恥をそのままにして置いたら大変なことになりかねないとヴィクトリアは言い出して、両親もそれに同意してしまい、ヴェロニカら家から追い出されることになったのだ。その早さにも驚かされてしまっていた。
(野垂れ死にしてほしいのかしらね。それとも、根を上げて土下座でもさせたいとか?)
必要最低限な荷物とわずかばかりのお金だけで追い出されることになったヴェロニカは、この国を出るべくとぼとぼと歩き始めながら、泣くまいと必死に耐えながらも、これからのことを思うと不安ばかりだった。
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