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しおりを挟むプルメリアは、チラッと見えたアマンダといる子息を眺めていた。幼なじみの王女の元婚約者なのだが、しばらく前に婚約破棄になっていた。王女のアナスターシャも、プルメリアと一緒になってアマンダたちを見ていたが、面白そうにしていた。
(王女の婚約者を奪ったことで、周りの目は厳しいものになったみたいね)
アマンダの友達は、王女の機嫌をアマンダに巻き込まれて悪くさせたくないと思ったようで、逆にご機嫌伺いの令嬢たちがプルメリアにアナスターシャのことを聞いて来るのも増えてしまって、プルメリアはため息をつきたくなっていた。
(見てわかるでしょうに。破棄されて、傷ついてなんかいないわよ。むしろ、新しい婚約者のアマンダがどうなるかを見ものだと思ってるところで、物凄く機嫌がいいのが、どうしてわからないのかしら?)
それこそ、幼なじみ同士でアナスターシャの機嫌は手に取るようにわかりやすいとプルメリアは思っていたが、どうやら他の面々には王女の気分は分かりづらいらしい。
(そう言えば、王太子殿下も、アナスターシャの機嫌はどうかって昔から私に聞いて来るのよね)
そんなことをプルメリアは思っていた。
そんなことがあってから、しばらくしてプルメリアは王太子と婚約することになり、そのことでアマンダに嫌味なことを散々なまでに言われることになったのだ。
(ここにきて、私のことじゃなくて、婚約者のことを比べるのね。余程、私と自分を比べると勝てないと思っているってことなのかしら?)
アマンダは、プルメリアと婚約した王太子のことで、こんなことを言い出したのだ。
「私の婚約者の方が見た目はいまいちでも、中身がいいのよ!」
「……」
(それを大声で言うなんて……)
それによって、アマンダは世の多くの令嬢たちを敵に回しつつ、嘲笑われることになったのは、すぐのことだった。
(王太子の中身も評判がいいことくらい知ってるでしょうに。二人っきりの時ならまだしも、みんなに聞こえるように言わなきゃいいのに)
プルメリアがそんなことを思いつつ苦笑している間にアマンダの婚約者は外見がいまいちだと言ったことを知られることになり、アマンダたちは険悪になったようだ。アマンダは必死でフォローしても怒りがおさまらなかったようで、婚約を破棄することになるまで、そんなに時間はかからなかった。だが、王女との婚約を破棄しておいて、一ヶ月ほどでこんなことになったのだ。家からは厄介者として扱われることになり、アマンダは勘当されることになるまで、あっという間だった。
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