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しおりを挟む「ごめんなさいね」
「?」
プルメリアは突然、アマンダに謝られてきょとんとしてしまっていた。
(何のこと? 謝られるようなことなんてあったっけ?)
「婚約者を奪ってしまったでしょう? ずっと気になっていたのよ」
「え……?」
(婚約者??)
プルメリアには奪われるような婚約者なんて居ない。それなのに奪ってしまったと言われてわけがわからなくて首を傾げてしまった。
「ちょっと、私は謝ってるのよ? 何か言ったら?」
「あの、どなたかとお間違えでは? 私、誰とも婚約してもいませんけど」
「は?」
アマンダが今度は間抜けな顔をしてプルメリアを見ていた。
(そもそも、謝ってるって言ってるけど、どう見ても謝罪してるようには見えないけれど……)
プルメリアの横で聞いていたプルメリアの幼なじみでもある王女が、アマンダの勘違いに気づいたようだ。黙って聞いていた王女が、アマンダにこう言ったのだ。
「あなたと婚約した子息なら、私の元婚約者ですわ」
「っ、」
「え? 殿下の……?」
「そうよ。まさか、プルメリアの婚約者だと思っていたからやったのではないわよね?」
「い、いえ、そんな、私は……」
「なら、私だとわかってやったと?」
「いえ、全く知らなくて……」
「全く知らないのにプルメリアにあんなことを言うの?」
「つ、」
(そっか。殿下の元婚約者と婚約したのは、アマンダだったのね)
プルメリアは、王女の言葉にアマンダが顔色を悪くしていくのを見ながら、苦笑していた。急用を思い出したとして、そそくさと居なくなったアマンダと王女を交互にプルメリアは見ていた。
「殿下」
「それは止めて」
「アナスターシャ。さっきのは、本当なの?」
「本当よ。私と婚約破棄して、別の令嬢と婚約したいって言うから、そうしたの。その相手が、彼女って聞いて私に喧嘩売るつもりかと思ったけれど、あなたの婚約者だと思っていたみたいね」
(それで、殿下の婚約を破棄させるなんてね)
プルメリアは、何かとアマンダにちょっかいをかけられて来たが、まさか婚約者を奪ってまで勝とうとするとは思わなかった。
それも、とんでもない勘違いをして王女の婚約を破棄させたのだ。今更、間違えていたと言って、白紙にも破棄にも出来ないだろう。
(それで、自分の首を絞めたことにいつ気づくことになるやら……)
「でも、良かったわ。あの子息と結婚しなくて済んだんだもの」
それを聞いてプルメリアは苦笑するしない。アナスターシャは、元々婚約したくなかったのを知っているプルメリアは、丁度良かったと思っていても、アマンダに本気で怒ってはいないのではなかろう。
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