兄が、姉の幼なじみと婚約破棄してから、家族がバラバラになったように見えていましたが、真実を知ると見え方が変わってきました

珠宮さくら

文字の大きさ
上 下
7 / 10

しおりを挟む

ドゥニーズたちは、その後、姉妹喧嘩となるも、エディットが事実を両親に調べてほしいと訴えることをやめなかった。


「エディット! そこまでして、姉の幸せの邪魔をするの!!」
「……誰かを踏みつけて幸せになるつもりなんですか? そんなの邪魔するに決まってます」


婚約が決まりかけているのにと渋っている両親にエディットは……。


「とんでもないことを幼なじみにしていたのが知られたら、どうなるかわかってますよね?」
「……それは」
「エディット。あなた、そこまでして姉を貶める側に加担するつもりなの?」


母は、信じられない顔をして、末娘を見ていた。そんな顔をされてもエディットは痛くも痒くもない顔をしていた。


「元婚約者と婚約する前から、本命がいたのに別れたフリして付き合っていたから、浮気しているところを目撃されたのですよね? そのパーティーにアルレット様がいなかったのを知ってますか?」
「は? いたわよ。従兄と来てたわ!」


ドゥニーズは、確かにいたと言っていたが、後日調べた両親は、長年聞かされていたことが嘘だったことを知ることになった。

アルレットもその従兄もパーティーにいなかったことがわかり、ドゥニーズを問い詰めると何があったかを話し始めて不貞腐れた。

それこそ、婚約が決まりそうなのに酷いことをするとドゥニーズは言っていたが、両親は……。


「酷いのは、お前だ」
「そうよ。それどころか。何も言わずに庇ってくれていたのにあなたは、ずっと悪く言い続けていたなんて」
「何も言わないなら、ずっとそうしてくれていればよかったのよ」


まるで、反省していないことを言っていた。開き直るドゥニーズに両親は、凄い顔をしていた。


「姉さん。それだけじゃないわよね?」
「まだあるのか?」
「は? ないわよ」


エディットは、謝罪の一言も言わない姉に腹が立ってしまい、王太子のことを両親に告げ口した。


「っ、候補になったわ! エディット! 嘘つかないでよ!!」


だが、頑なに婚約者の候補になって、アルレットと競ったのは事実だと言った。それは、絶対に間違いないとまで言ったのだ。


「なら、確認してもらえばいいわ」


ドゥニーズは、そんなわけないとして両親に調べてもらうことに同意した。


「エディット。あとで、謝罪するのよ」
「……」


姉は謝罪することになるのは、妹だと思っていたが、そうなることはなかった。


「は? 候補ですらなかった……? そんなわけないのに」
「お前は、嘘ばかりだな」
「この子の言うことばかり鵜呑みにしてきたのに」
「そんなわけない!」


候補にすら名前がなかったことを知って、アルレットに怒鳴り散らしに行ったのは、それから間もなくのことだった。

両親は、よく調べもせずにドゥニーズが言うままに信じていて、今更どうすればいいのかとそれに頭を悩ませていて、エディットはそんな家族に呆れた顔をしていた。

誰も、アルレットのところに謝罪に行こうと思わないところに何とも言えない顔をしていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

旦那様が遊び呆けている間に、家を取り仕切っていた私が権力を握っているのは、当然のことではありませんか。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるフェレーナは、同じく伯爵家の令息であり幼馴染でもあるラヴァイルの元に嫁いだ。 しかし彼は、それからすぐに伯爵家の屋敷から姿を消した。ラヴァイルは、フェレーナに家のことを押し付けて逃げ出したのである。 それに彼女は当然腹を立てたが、その状況で自分までいなくなってしまえば、領地の民達が混乱し苦しむということに気付いた。 そこで彼女は嫁いだ伯爵家に残り、義理の父とともになんとか執務を行っていたのである。 それは、長年の苦労が祟った義理の父が亡くなった後も続いていた。 フェレーナは正当なる血統がいない状況でも、家を存続させていたのである。 そんな彼女の努力は周囲に認められていき、いつしか彼女は義理の父が築いた関係も含めて、安定した基盤を築けるようになっていた。 そんな折、ラヴァイルが伯爵家の屋敷に戻って来た。 彼は未だに自分に権力が残っていると勘違いしており、家を開けていたことも問題ではないと捉えていたのである。 しかし既に、彼に居場所などというものはなかった。既にラヴァイルの味方はおらず、むしろフェレーナに全てを押し付けて遊び呆けていた愚夫としてしか見られていなかったのである。

私を婚約破棄後、すぐに破滅してしまわれた旦那様のお話

新野乃花(大舟)
恋愛
ルミアとの婚約関係を、彼女の事を思っての事だと言って破棄することを宣言したロッド。うれしそうな雰囲気で婚約破棄を実現した彼であったものの、その先で結ばれた新たな婚約者との関係は全くうまく行かず、ある理由からすぐに破滅を迎えてしまう事に…。

妹に婚約者を奪われました

おこめ
恋愛
妹に全てを奪われ続けた姉のお話。

【完結】婚約破棄されるはずが、婚約破棄してしまいました

チンアナゴ🐬
恋愛
「お前みたいなビッチとは結婚できない!!お前とは婚約を破棄する!!」 私の婚約者であるマドラー・アドリード様は、両家の家族全員が集まった部屋でそう叫びました。自分の横に令嬢を従えて。

婚約破棄させてください!

佐崎咲
恋愛
「ユージーン=エスライト! あなたとは婚約破棄させてもらうわ!」 「断る」 「なんでよ! 婚約破棄させてよ! お願いだから!」 伯爵令嬢の私、メイシアはユージーンとの婚約破棄を願い出たものの、即座に却下され戸惑っていた。 どうして? 彼は他に好きな人がいるはずなのに。 だから身を引こうと思ったのに。 意地っ張りで、かわいくない私となんて、結婚したくなんかないだろうと思ったのに。 ============ 第1~4話 メイシア視点 第5~9話 ユージーン視点  エピローグ ユージーンが好きすぎていつも逃げてしまうメイシアと、 その裏のユージーンの葛藤(答え合わせ的な)です。 ※無断転載・複写はお断りいたします。

婚約破棄裁判

Mr.後困る
恋愛
愛国心溢れる大公令嬢ヴィーナスは 自身の婚約者を誑かしたマーキュリー男爵令嬢を殺害した その裁判が今、行われる・・・

(完結)無能なふりを強要された公爵令嬢の私、その訳は?(全3話)

青空一夏
恋愛
私は公爵家の長女で幼い頃から優秀だった。けれどもお母様はそんな私をいつも窘めた。 「いいですか? フローレンス。男性より優れたところを見せてはなりませんよ。女性は一歩、いいえ三歩後ろを下がって男性の背中を見て歩きなさい」 ですって!! そんなのこれからの時代にはそぐわないと思う。だから、お母様のおっしゃることは貴族学園では無視していた。そうしたら家柄と才覚を見込まれて王太子妃になることに決まってしまい・・・・・・ これは、男勝りの公爵令嬢が、愚か者と有名な王太子と愛?を育む話です。(多分、あまり甘々ではない) 前編・中編・後編の3話。お話の長さは均一ではありません。異世界のお話で、言葉遣いやところどころ現代的部分あり。コメディー調。

処理中です...