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しおりを挟むそんな日が続き、ついには、その令嬢がウィリアムにやたらと話しかけるようになったのだ。どうやら、自分に脈ありだとわかって、奪えるものなら奪おうと思ったようだ。
(まぁ、その方がいいのかも知れないわね)
レイチェルは、婚約が駄目になったら、どうしようかとぼんやりと考え始めていたのだが、ウィリアムから婚約を破棄しようと言われることはなかった。
段々とその令嬢も大胆になっていったが、ウィリアムの方は怪訝な顔をするばかりで、ついにはレイチェルという婚約者に誤解されたら困るから止めてくれと言い出したのだ。
「誤解されたら困るって、あなた、私のこと好きになったんじゃなかったの?」
「は? 誰がそんなことを言ったか知らないが、私がレイチェルに一目惚れして両親に無理を言って婚約したんだ。台無しになったら、それこそ君の家を潰すことも厭わないからな!」
「じゃあ、何で私のこと、よく見てたのよ!」
「あぁ、それは、君が付けてる宝石が気になって見てただけだ」
「はぁ?」
「妹が大事にしていたアクセサリーを失くしたらしくてな。それによく似てたから気になってたんだ。ついでだから聞くが、どこで買ったんだ?」
「っ、何それ! 私が盗んだって言いたいの?!」
彼女は、アクセサリーのことを聞かれた途端、顔色を悪くして、レイチェルに罵詈雑言を言い放って、いそいそと居なくなってしまった。
(……えっと、つまり、気になっていたのは、彼女ではなくて、宝石の方だったと……?)
チラッと見るとレイチェルが怪訝な顔をして、あの令嬢を見ていたが、ウィリアムの視線にハッとした顔をして、誤解されたくないと見ていた理由を教えてくれたのだ。
ワタワタとウィリアムが話すのを聞きながら、レイチェルも彼の妹のことを思い出す。
「……確かによく似てましたわね。あれは、珍しい宝石のはずなのに」
「そうなんだ。妹が失くしたと話してくれてから、日に日に元気がなくなっているから見つけてやりたくて探していたんだが、似ているから気になってしまって……」
(それにしては、見すぎだと思うけれど……。まぁ、この方が妹さん想いなこともわかったし、私も気になるから調べさせた方がいいみたいね)
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