幼なじみの親が離婚したことや元婚約者がこぞって勘違いしていようとも、私にはそんなことより譲れないものが1つだけあったりします

珠宮さくら

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トゥリベティ伯爵は、ナーラがシュリティと揉み合い、それを目撃したレーシュミが止めに入って階段から落ちたと聞いて、頭の中が真っ白になった。


「レーシュミ!」
「お父様」


学園で診察を受けて、トゥリベティ伯爵家に運ばれることになったレーシュミは自室で痛々しい包帯を巻いて横になっていた。その姿を見てトゥリベティ伯爵の方が泣きそうな顔をした。

バッタチャルジー侯爵家と王太子から、シュリティを庇って怪我をしたレーシュミに感謝と見舞いの品が届いたが、元はと言えばナーラがシュリティに掴みかかったのが発端だが、既に縁を切ったと人物がしたことだとなった。

レーシュミが怪我をしたことで落ち込んだのは、トゥリベティ伯爵だけではなかった。

シュリティも、落ち込んでいた。


「シュリティ」
「……」


王太子妃となるための勉強も手につかず、ぼんやりしていて、王太子が呼んでも反応しないほどだった。


「あの、少しいいですか?」
「ん? ヴィジェイ、どうした?」
「その、義姉上に聞きたいことがあって」
「シュリティに?」


王太子の弟の第2王子が、シュリティに用があるとやって来て、シュリティはヴィジェイを見た。


「どうかそれましたか?」
「あ、その、ナーラ嬢にお見舞いのお花をその、贈りたいのですが、どんな花が好きなのかと思って」
「レーシュミに?」


ヴィジェイは、頬を赤らめて頷いた。それを見ていたシュリティと王太子は、ナーラに気があるのがすぐにわかった。

そのため、シュリティが知っていることを踏まえつつ、ヴィジェイは元気になってほしいと花を贈って、その返礼に手紙が来たと喜ぶ第2王子をシュリティと王太子は微笑ましそうに見ていた。


「シュリティ。上手くいったら、義理の姉妹になれるのてはないか?」
「義理の姉妹……?」


王太子の言葉にシュリティは、最初わけがわからずにきょとんとした顔をした。しばらくして、何を言いたいのかがわかって、ぽんと手を叩いた。


「確かに。義理の姉妹になれるかもしれませんね」


すぐにぴんとこない辺りがシュリティらしいと王太子は見ていたが、シュリティはそれどころではなかった。一度は諦めたレーシュミと義理の姉妹になれるかもしれないのだ。

それに気づいて、シュリティは目を輝かせていて、それに王太子は眉を顰めずにはいられなかった。

レーシュミの方は、とっくにシュリティと義理の姉妹になれるかもしれないと気づいていた。そう、とっくに気づいていたが、シュリティの助言のもとでヴィジェイがやって来てどうなるかを楽しみにしていた。

それに気づいていたのは、王太子だった。


「やれやれ、とんでもない令嬢が義妹になりしうだが、あいつには丁度よさそうだな」


王太子は、そんな中でもシュリティが色々あって気にしていたが、レーシュミと昔のように楽しそうにはしゃぐまでになってホッとしていた。


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