私は途中で仮装をやめましたが、周りはハロウィンが好きで毎日仮装を続けていると思ったら……？

３５

秘書としては超有能なのもあり、ベジタリアンの食屍鬼が、ここを去ったら仲間うちのいざこざに巻き込まれて大変なことになりかねないこともあり、保護の役目もすることにしたようだ。

元々、秘書のままで置けずとも、会社の中で他の仕事をさせようと社長は考えていたようだが、当事者のユズカの言葉が決め手になったようだ。

それまで、ユズカのことを自分たちの部署に来るように根回ししていたが、上手くいかずユズカの命が危ないとなって一丸となって守るべく動いていた。

なのにユズカが社長にアジュガのことを辞めさせないであげてほしいと言ったことを知って誰もが、こう思った。


「ユズカらしい」


ユズカが、彼女を許したのだとなり、アジュガに釘を差したりする者はいても、追い出すように仕向ける者はいなかった。

中にはユズカとは面識もない奴が、あれこれと言ってアジュガに辛く当たる者もいたが、そういう輩から彼女を助けるのは、ユズカと面識のある者たちばかりだった。

ユズカと面識ある者たちは、すっかりユズカを通して意気投合するようになっていた。

だが、そんなことになっていることをユズカは全く知りもしなかった。

そもそも、ユズカがそれどころではなくなっていたことも大きい。


「それにしても、ユズカたちの方は、どうなっているの？」
「あー、無事と言えるかわからないが、恋人同士にはなれたようだ」


それに女性陣＋オネェは、黄色い声を上げた。それを見ていた１人が怖い物知らずなことをぼそりと呟いた。


「キモい」
「あ゛？」
「っ、いえ、何でもないです」


小さな呟きで聞こえないと思っていたが、ばっちり聞こえてしまったのだ。オネェの睨みと声に呟いた人物はすぐに姿勢を正して、すぐさま誤魔化したが、全く誤魔化しきれてはいなかった。

うっかり声にしてしまったのは、狼男のソカムだった。彼は己の尻尾を内股に隠してしまうほど、ビビっていた。毛皮で見えないが冷や汗をかけるものならかいていた。それと皮膚が見えていたら、顔色が一瞬で悪くなったのも見てわかっただろうが、狼男の彼にはわかりづらいものがあった。尻尾はわかりやすかったが、毛並みの違いがわかる者にはわかる変化はあった。

その横にたまたまいたユーパトは、何も言ってはいないのに隣にいるだけで、ソカムと一緒に睨みつけられて、可哀想なくらい震えていた。

でも、包帯だらけで冷や汗をかいていても周りにわかってもらえることはなかったが、かなり怖かったことを物語っているのは、ユーパトの震えが中々止まらなかったことだ。

それを女性陣は、心配する者も少数いたが、何気にオネェが一番男らしいと思われているとは男性陣は思ってもみなかった。