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しおりを挟むそんなこともあって、由美には美穂がどこの大学に入ったかを長らく知られずにいた。驚くくらいバレないでいたことにちょっと美穂は油断していた頃に知られることになるとは思ってもみなかった。
由美がそれを知ったのは、母方の祖父が亡くなった時に親戚が集まっている時だった。
それこそ、面倒なことになりそうだからと美穂は大学の名前を出さずにいたせいで、自分の卒業したところよりも下だと勝手に思いこんでいた由美が、自分の大学の話題や就職先について親戚たちに色々言われる前に妹の方の大学が、自分よりも下だからと言いたかったようだ。
それこそ、就職先も由美は自分の思ったようなとのろではなかったことで、言えることが妹を貶すことくらいしか言えなかったようだ。
親戚たちが集まっている時に由美は妹をボロクソに言おうとして、逆に親戚にボロクソに言われることになるとは思わなかったはずだ。
由美だけでなくて、美穂もそんなことになるとは思っていなかった。
そもそも、大学の話題を振ったのは由美からだった。そんなことをしなければ、親戚たちも由美と美穂の大学うんねんの話題に触れなかったはずだ。就職のことも、由美からわざわざ聞こうともしなかっただろう。そういうことをするのは、父方の祖父母くらいだが、この時は来ていなかったことで、墓穴を掘ることになったのは、姉だった。相変わらず姉は余計なことをして自滅するのが上手かった。
(相変わらず、自分の首を自分で絞める人ね。おじいちゃんが亡くなった後だって言うのに親戚に自慢することがないからって、妹を貶そうとするなんて、何考えてるんだか。どうしても、私のことを姉さんは下にいないと許せないみたいね。姉さんより下って中々ないんだけど)
美穂は、由美のやったことに呆れ返って、そんなことを思ってしまった。
それが由美の思っていたものと違っていたのと長らく嘘をつかれていたと思ったようだ。嘘などついていない。大学の名前をそもそも言っていない。通知表のことも、自分のだとは美穂は一言も言ってはいない。
親戚たちに散々言われることになった由美が、美穂を怒鳴りつけるのは、すぐだった。
「美穂! あんた、私に嘘ついたのね!? 信じられない!」
「嘘も何も、姉さんが勝手に思い込んでただけでしょ。私は、大学の話を姉さんにしたことなんて一度もない」
「そうやって、私を馬鹿にしてたのね! 信じられない!!」
そんなことを言った美穂にブチギレた由美は、大暴れすることになり、騒ぎを聞きつけた親戚が由美を取り押さえてくれたのも、すぐだった。
抑えてくれなければ、美穂は怪我をしていたに違いない。
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