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しばらくして、思いもかけないことを言われた。


「叔父様たちが、離婚を?」


イヴォンヌは、両親に話があると呼ばれて、何だろうと思っていたら、そんなことを言われたのだ。それに驚かないわけがない。

これまで、叔母はあの調子で色々やって来たのだ。それなのに離婚となったことはなかった。

そう、叔父はなんだかんだ言っても叔母を愛しているのだとイヴォンヌは、勝手に思っていた。残念ながら、叔父は結婚する前から婚約している時から、愛情など持ってはいないことを知らなかった。

叔父である王弟は、イヴォンヌの父親やその両親が扱いに困っているのを知って、引き取ったにすぎない。

それを勘違いしていて好き勝手にしていたのだから、おめでたいとしか言えない。そして、離婚せずにいたのも、マドレーヌが妻にそっくりだと知って、機会を伺っていただけなのだが、そのことをイヴォンヌも母親も知らなかった。

父は、大体は想像できたが、義理の兄に申し訳なくて大変だったが、一気に片付いて安堵もしていた。

だから、サラッとイヴォンヌに報告しようとしていた。


「そうらしい。それとマドレーヌとの養子も取り消したらしい」
「それは、ここに戻って来るということですか?」


2ヶ月も経っていない。なのに急展開になったことにイヴォンヌは、その心配をしてしまった。


「いや、出て行く時に縁を切ってある。この家に入れる気はない。それにお前の叔母の方は、とっくに絶縁されてる」


それを聞いてイヴォンヌは、ホッとする前に気になることがあった。とっくにと言う言葉が引っかかったのだ。


「昔、私たちが結婚した時にあちらが言ったのよ」


母が疲れた顔をして、イヴォンヌの疑問に答えてくれた。


「……絶縁したのにこの家に来てたんですか?」
「そうなのよ。変な人よね」
「……」


イヴォンヌは、それに驚いてしまった。マドレーヌが、あの人そっくりなことを知って、絶縁をなかったことにしてやってもいいみたいに現れるようになったようだ。

それを知ったイヴォンヌは、遠い目をしてしまった。

それでも、イヴォンヌはひょっこり帰って来るのではないかと思っていた。叔母は、いつもアポなしで突撃して来ていたこともあり、不満をぶつけるなら、ここしかないと思ってもいたが、そんなことにはならなかった。

離婚され、養子をなかったことにされて、2人とも、やっと現実を見たのだろうか?

イヴォンヌは、何にせよ。あの調子だ。イヴォンヌのような人たちではなく、使用人のように全く関係ない人たちが迷惑しているのではないかとそれが気になってならなかった。

かといって、またイヴォンヌが色々と言われたり、されたりする日常に戻りたいわけではないが。


「イヴォンヌ。どうした?」
「……いえ、ただ、急な展開なので驚いてしまって」
「イヴォンヌ。気にしなくていいわ」


両親は、そう言ってくれたが、姉や叔母のことより、周りが気になってならなかった。

それを両親や周りは……。


「やはり、イヴォンヌに話すのはまずかったか」
「あの子は優しいですからね」
「だが、あれだけ、色々されたのに姉たちの心配をするとはな」
「本当ですね。……心配されてる方は、そんなに気づきそうもないというのに」


それこそ、ランベールも、この両親と同じようなことを思っていたし、使用人たちも同じように思っていて、イヴォンヌが何を心配しているかに気づく者はいなかった。


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