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しおりを挟む養父に色々言われたことをマドレーヌたちは、それが何を意味しているのかがわかることはないままだった。
マドレーヌは留年するわけにいかなくなり、知り合いもいない学園に通うことになった。
「変なの。こんな制服着なきゃならないなんて、最悪。……でも、まともなのがないから、これを着るしかないわよね」
マドレーヌにとって変であっても、この学園の制服は人気だった。留学して来る者には、制服目当てで来る者までいるのだが、マドレーヌには理解できないことでしかなかった。
「そうだわ。私のセンスの良さを見せるチャンスだわ」
そう言ってマドレーヌは、アレンジをして出かけた。
見送っていた使用人は……。
「まともじゃないわね」
「あの方、そっくりね」
「……はぁ、こっちになんて来たくなかったのに」
「お給料がよくても、じゃんけんで負けたせいで
こっち付きになるなんて、完全に外れじゃない」
使用人たちが、そんなことを話していたことを王弟の妻も、マドレーヌも知ることはなかった。
あの叔母にそっくりな令嬢として、王弟の妻が勝手に養子にしたと知っていた。その上、本宅ではなく、別宅に住むことになって不貞腐れて部屋から出ないようなのが、やっと来た理由が留年の危機が訪れたからなのも、みんな知っていた。
「あれが、そうなの?」
「……あの方が、隣国で流行りを生み出している令嬢の姉なの?」
「信じられない。本当にセンスの欠片もないとこらが、そっくりみたいね」
「ここの制服の良さがわからないなんて、最悪ね」
みんなマドレーヌのことを遠巻きに見ていて、誰も関わろうとしなかった。
それでも、マドレーヌは養子になった養母の子供たちを探し回って、やっと見つけて話しかけた。
今は、義理の姉と同い年の兄となったのだが……。
「あの人が暴走して、養子にしただけよ。義姉なんて呼ばないで」
「っ、」
「話しかけてくるな」
「でも」
「聞こえなかったか?」
「っ、」
どちらも素気なくしていて、それを養母に言うと怒ってくれて本宅に怒鳴り込みに行った。
暴れ回っていたのを見て、マドレーヌもストレスが爆発して同じように大暴れした。
贅沢できると思っていたのに前より我慢ばかりの日々に頭にきていた。何なら、授業に全くついていけずに馬鹿にされたのもあり、腹が立って仕方がなかった。
その結果、離婚されることになり、養子も取り消すことになったが、2人は実家に行けばいいと思っていた。
あれだけ、念押しされていたのに何もわかっていなかった彼女たちだが、これまでマドレーヌは嫁いで来てから何かとツケで好き勝手していたこともあり、それに慣れすぎていて、持ち合わせがなかったこともあり、実家にたどり着くことはできないままとなった。
あの調子でほうぼうで暴れては、その分働けと言われるも、更に物を壊して使えないとなって、追い出されるということを繰り返したようで、至るところに迷惑をかける叔母と姪として、関わるなと言われる2人となったようだ。
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