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あれから、ネリネは働かされ続けた。この国に住む人たち聖女や他所から来た者たちが働くのが、当たり前だと思っていて、この国の出身の人たちはいつも好きなことをしていた。
各国から援助してもらっていることもあり、それが数百年近く続いていて、真面目に働くことがバカらしくなってしまったようだ。
だが、ネリネも聖女として塞ぎきれなくなった場合のことは、考えていた。
(私が聖女の間に穴が開いた時は、私を人柱にして、この国で蓋をしよう)
いくらジャンケンで負けたとはいえ、逃げ出すなんてネリネはしないと心に誓っていた。そのために少しづつ準備を続けて、ようやく、それが完了した時だった。
ネリネに代わる聖女が見つかったから、さっさと帰っていいと婚約者のスカリ王子に突然、呼び出されたかと思ったら言われて驚いた。まぁ、いつも、突然呼びつけて無理難題を言うだけの王子だが、ネリネが喜ぶことを言ったのは、この時が初めてだった。
「あぁ、ついでにお前との婚約は破棄するから、二度と来なくていいぞ」
スカリ王子にくっついて露出の高いドレスを着ているのが、どうやらスカリ王子の言う聖女らしい。全く聖女らしくない格好をしている。ドレスなんて、動きにくいのを着ている聖女は初めて見た。
(見たことない聖女だな。新しく聖女が選ばれたなんて知らせあったっけ……?)
ネリネが首を傾げて、そんなことを考えていたが、新しい聖女とやらは不躾にも上から下まで値踏みするかのような視線を向けた。
「こんな、ちんちくりんが聖女なの?」
「っ!?」
(ちんちくりんは、聖女に関係ないでしょ!)
だが、文句を口にすることはなかった。国に帰れるのだ。余計なことは言えない。彼女と婚約するから、ネリネは不要だと言うのだ。今は、たえる時だ。
ぎゅっと拳を握りしめて、表情には出さないようにした。これも、この国で身につけたスキルだ。
「こんなのと婚約させられていたなんて、お可哀想に」
「わかってくれるのは、君だけだ」
2人の世界に入りそうなので、引きつりそうな頬を誤魔化すように咳払いをして、必要なことをネリネは言った。
「婚約破棄は了承します。一応、国からの派遣要請ですので、書類にサインしてください。こちらも、言葉だけでは困ることので」
「はっ、相変わらず、面倒くさいやつだな」
面倒そうに書類をよく見もせずにスカリ王子はサインしてくれた。それが、終わるなり犬を追い払うように手を動かしてネリネを追い払った。もう一方の手は、新しい聖女の腰に回っていた。ドレスからして、どこかの令嬢かもしれない。
(いつか、こんな日がくる日を夢見て書類だけは持ち歩いていてよかった。やっと帰れる!)
ここに派遣されてから長らく住んでいた王宮から追い出されてしまうが、ネリネはスキップしたい気持ちを抑えて帰国しようとした。
(帰ったら、お墓参りがしたいな。あの花を見て、和みたいな)
各国から援助してもらっていることもあり、それが数百年近く続いていて、真面目に働くことがバカらしくなってしまったようだ。
だが、ネリネも聖女として塞ぎきれなくなった場合のことは、考えていた。
(私が聖女の間に穴が開いた時は、私を人柱にして、この国で蓋をしよう)
いくらジャンケンで負けたとはいえ、逃げ出すなんてネリネはしないと心に誓っていた。そのために少しづつ準備を続けて、ようやく、それが完了した時だった。
ネリネに代わる聖女が見つかったから、さっさと帰っていいと婚約者のスカリ王子に突然、呼び出されたかと思ったら言われて驚いた。まぁ、いつも、突然呼びつけて無理難題を言うだけの王子だが、ネリネが喜ぶことを言ったのは、この時が初めてだった。
「あぁ、ついでにお前との婚約は破棄するから、二度と来なくていいぞ」
スカリ王子にくっついて露出の高いドレスを着ているのが、どうやらスカリ王子の言う聖女らしい。全く聖女らしくない格好をしている。ドレスなんて、動きにくいのを着ている聖女は初めて見た。
(見たことない聖女だな。新しく聖女が選ばれたなんて知らせあったっけ……?)
ネリネが首を傾げて、そんなことを考えていたが、新しい聖女とやらは不躾にも上から下まで値踏みするかのような視線を向けた。
「こんな、ちんちくりんが聖女なの?」
「っ!?」
(ちんちくりんは、聖女に関係ないでしょ!)
だが、文句を口にすることはなかった。国に帰れるのだ。余計なことは言えない。彼女と婚約するから、ネリネは不要だと言うのだ。今は、たえる時だ。
ぎゅっと拳を握りしめて、表情には出さないようにした。これも、この国で身につけたスキルだ。
「こんなのと婚約させられていたなんて、お可哀想に」
「わかってくれるのは、君だけだ」
2人の世界に入りそうなので、引きつりそうな頬を誤魔化すように咳払いをして、必要なことをネリネは言った。
「婚約破棄は了承します。一応、国からの派遣要請ですので、書類にサインしてください。こちらも、言葉だけでは困ることので」
「はっ、相変わらず、面倒くさいやつだな」
面倒そうに書類をよく見もせずにスカリ王子はサインしてくれた。それが、終わるなり犬を追い払うように手を動かしてネリネを追い払った。もう一方の手は、新しい聖女の腰に回っていた。ドレスからして、どこかの令嬢かもしれない。
(いつか、こんな日がくる日を夢見て書類だけは持ち歩いていてよかった。やっと帰れる!)
ここに派遣されてから長らく住んでいた王宮から追い出されてしまうが、ネリネはスキップしたい気持ちを抑えて帰国しようとした。
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