必要なくなったと婚約破棄された聖女は、召喚されて元婚約者たちに仕返ししました

珠宮さくら

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ピンチになるたび聖女を異世界から召喚してばかりしていた国があった。そこは、元の世界から引き離され、呼ばれた聖女たちの強い悲しみや怒りが溜まるようになり、国の底にブラックホールのような黒い歪みが出現しやすくなってしまった。数百年前のことだ。


各国では歴史は改ざんされずにきちんと学ぶのだが、国の汚点でしかないその国では、そんな過去などもみ消して、世界を守るかなめを担っているのだということにして、その国ではそれこそが事実なのだと思っていた。そのせいか、えばり散らす王族と国民ばかりとなっていた。


好き勝手出来ていた召喚が上手くいかなくなり、今度は世界各国に自分の国が世界のかなめになっていると主張して、他の国から聖女を派遣させるという脅しを始めた。


確かにその国をどうにかしないと世界が滅びかねない。そんな国に行きたがる聖女など居ない。聖女たちは、誰が行くかと話しあい、恨みっこなしで、ジャンケンをした。



「「「「「あっ」」」」」

「嘘でしょー!?」



一発で勝敗は決まった。ジャンケンで負けたことなどなかったネリネに決まったのだった。まるで、死刑宣告をされた気分だった。



「えっと、ほら、玉の輿になれるわよ」

「なら、代わるけど?」

「あそこの王子、馬鹿らしいから無理。……あっ」



つい本音が出たらしい聖女は、ネリネとは視線を合わせることなく、他の聖女たちも自分たちが行かなくてよかったと安堵しているのが隠しきれていない。

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