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「シーラ嬢は、学園でも姉妹や元婚約者から罵詈雑言を浴びせかけられているのに誰も巻き込ませないようにしているようですね」


夫人たちは、学園に通う子供から聞いている者も多くいた。


「えぇ、そのせいで、ずっと言われ放題なままだとか」
「言い返さずに良く耐えているものよね」


自分たちが学園生だったら、助けたいと思っていても中々できなかっただろう。だから、関わってまで助けてやれとは言えずにいた。

何より、シーラは姉妹が周りに迷惑をかけないように自分に向けるようにしているのだ。


「でも、婚約した令嬢がとんでもないとわかってからは、シーラ嬢の元婚約者は何も言わなくなったそうよ。それでも、シーラ嬢に謝罪の一言もないらしいけど」
「そんな子息と破棄してよかったと思うところね。シーラ嬢には、幸せになってほしいもの」


そんなことを言いながら、みんなが頷いていた。

この間、シーラを見た時よりも、いくぶんか痩せたように見える。顔色も悪く見えた。それに気づいて、夫人も王妃も心配そうな顔をしていた。


「それにしても、迎えに行って正解だったわ」


迎えに行った夫人の暴露にシーラが、痩せるのも無理ないと思えた。


「喪中になって半年も過ぎていないというのにずっとそんな調子だなんて……。気が休まらないわよね」
「姉妹だって、実の母親を亡くしたというのに。薄情な娘がいたものね」


そんなことを思っていた。それこそ、そんなことを我が子たちが繰り広げていたらと思うとゾッとしてならない。夫にそんなことをしてもいいと言われるなんてことも、想像しただけで恐ろしい。


「シーラが、父親に似なくてよかったわ。みんな父親似だったら、目も当てられないわ」


それにみんなが、頷いていた。王妃も、小さく頷いていたほどだった。

それこそ、王妃だけでなくて、そんな話をする夫人たちもまたシーラのことをとても気に入っていた。

それは、ここにいない者も同じだった。王妃は王女が何かと気にかけているシーラのことを前々からよく知っていたのだ。

留学生がとんでもないことを王女に言ったのも聞いていたが、留学生と何かあっては大変だからと婚約者のところに留学するための準備をさせるべく、特別授業を王宮で受けさせていた。留学生がいなくなったと知っても準備が全然足りないとわかって、シーラが気になってもいけずにいたのだ。

そのため、王妃が王女にシーラの様子を話しているのを聞かせていた。それで母娘の時間を取れるようになって、それに王妃は喜んでいた。

シーラが喪中を終えたら、息子の婚約者にしたいと狙っている夫人たちが多かったが、それよりまずはシーラがゆっくりと心を癒やすのが先決だと思っていた。

だからこそ、エルヴィーラがやって来てくれて、ホッとしていた。それで、シーラの心の傷が少しでも癒やされればと思っているのだ。


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