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しおりを挟むアルヴァとリネーアは、婚約者や友達たちと出かけられず毎日、つまらなそうにしていた。ラーシュも、リネーアの話し相手にはなっているが、出かけることは断っているようだ。
それこそ、その辺の常識はあるのかと思ったが、彼は授業で簡易なテストをした結果がいまいちな教科が複数あって補習に忙しかったようだ。
(簡単なテストで悲惨な点数なら、試験で絶対まずいことになるものね。補習を受けて、ちょっとはマシにしとかないとって思うわよね)
シーラは、学期末なら必死になる人をよく見かけるが、この時期から必死になる生徒も珍しいと思い、姉と妹たちも簡易なテスト結果はあまりよくなかったようだが、それでもどうにかなると全く気にしていない二人の方に呆れていた。
(試験結果がいまいちなことを母が亡くなったことを引き合いに出しそうなのよね。そんなことで考慮してくれるわけがないのに)
スヴェーア国は、他の国よりも学業が厳しいところだった。特にシーラたちが通う学園は、留学生や編入生には最難関とすら言われていて、有名なところだった。そこで、留学生となったり、編入生となって高評価を得られたとわかると一目置かれることになるのだ。
それを狙ってやって来る人たちも多くいたが、聞いていたよりも難しいことに戸惑いも多く、慣れてないとちょっとした行き違いで評価の点数を減らしてしまうため、お世話係なる者がクラスで数人いて、慣れるまでは何かと世話をやくのだ。シーラも、その係を今年は引き受けていた。でも、母を亡くしたこともあってシーラにその役を新しく引き継がせようとは、先生も生徒もしようとしなかった。
姉妹は、そんな係をしたこともない。任せられるような人物ではないから、話を振られたこともないだろう。
あまりにも誰にも相手にされないため、二人で出かけるようになったようだ。それでも、周りの応対がいまいちらしく、ちっとも楽しくないとシーラに意地悪をすることが増えていったのも、その頃からだった。物を壊されたり、捨てられたりしてウサを晴らすのだ。
それもこれも、シーラだけがいい子ぶって喪に服し続けているのが、腹が立って仕方がないようだ。
子爵家の使用人たちは、面倒に巻き込まれたくないと見て見ぬふりをする者ばかりで、シーラはそんな使用人たちに助けを求めることもしないようにしていた。そんなことをすれば、姉妹が父に泣きついて、辞めさせられることになるだけだ。
(そんなことで、私に八つ当たりしないでほしいわ。使用人たちも、辞めたくないだろうけど、あっちに媚びうるのもいるのよね。……この家では、もう私の味方なんていないのよね)
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