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しおりを挟むそんなことがあってから、アルベリックはクレメンティアに笑顔を見せることも増えていった。笑顔というか。蕩けるような笑顔で、クレメンティアは顔を赤くしてしまって、間近で直視するのが困難なものだった。
(心臓に悪いわ。確かに笑顔を見たいとは思っていたけれど……、あの笑顔は駄目よ。身がもたないわ)
ペルネティアとはアルベリックも、クレメンティアも、話すこともなくなり、常にアルベリックはクレメンティアと一緒に過ごしてくれるようになった。他の子息と話しているとすぐさま駆け寄って来て、クレメンティアにくっついて子息を威嚇するのだ。
(一目惚れしたって、本当だったのね。こうなると信じられないなんて言ってられないわ)
他に取られたくないと言うアルベリックが、気が気ではないと心配してくれることにクレメンティアは苦笑することが増えてもいた。
(男女と呼ばれているのに他の子息にモテるなんてありえないのに。心配すべきは、私じゃなくてアルベリックの方だと思うのだけど……)
クレメンティアとしては、アルベリックが令嬢にモテる方が心配だと言えば、彼の方は浮気なんてしない自信だけはあると言うのがおかしくてクレメンティアも同じだと答えて二人は笑いあった。
アルベリックから溺愛されることが一目瞭然となったクレメンティアは、以前のように嫌味を言われることもなくなった。
それを言わせていたペルネティアが、クレメンティアの何かしようとしていたとかでアルベリックが激怒してしまい、彼女の家に苦情と抗議をしてくれたのだ。それによって、アルベリックの婚約を再び台無しにしようとしたことで、彼女の両親は最早手におえないと思ったようだ。ペルネティアは、修道院に入ることになり、彼女の取り巻きたちが大人しくなったのだ。
更にクレメンティアとアルベリックたちは見かけるたびに仲睦まじくしていることもあり、羨ましがる令嬢たちの方が多くなったのだ。それにより、どうしたら二人のようになれるかと相談されることも増えていき、お似合いじゃないとは言えなくなった二人は、理想そのものだと言われるまでに時間はかからなかった。
こうして、相思相愛な二人となり、誰もが羨むほどの幸せいっぱいな生活を送ることが出来たのだった。
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