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しおりを挟むしょんぼりしながら、クレメンティアは両親に婚約破棄の話をした。
だが、両親はクレメンティアからその話を聞いて眉を顰めたのだ。
「それは、おかしいな」
「? 何がですか?」
「ねぇ、クレメンティア。婚約者に破棄したいと言われたことはあるの?」
「いいえ。ありません。でも、幼なじみと居るときの方が表情豊かなんです。私の前では笑うこともなくて……」
「そうか。だが、あちらの家からは、お前に息子が一目惚れしたから、どうしても婚約させてやりたいと頼みこまれているんだ」
「一目惚れ……?」
クレメンティアは、両親の話に信じられないと驚いてしまった。
(じゃあ、何で、私の前では笑ってくれないの……?)
きちんと話し合った方がいいと言われて、アルベリックと会って話すことになったのだが、彼はクレメンティアが話す前に見たことないくらい焦った顔をしていた。
どうやら、両親がアルベリックの両親の方に話していたようで、それをアルベリックは聞かされて、ここに来たようだ。
(こんな表情もできたのね)
アルベリックから言い訳でも聞かされるのか。はたまた、さっさと破棄しろと言われるのかと思ったが、アルベリックはクレメンティアの思っているようなことを言うことはなかったのだ。
それこそ、破棄など考えたこともない!と珍しく声を荒げて反論されたことにクレメンティアはびっくりしてしまって、肩が跳ね上がってしまうほどだった。
それが、アルベリックは気に入らなかったのかもしれない。眉を顰めて、クレメンティアを見ているのがわかって、そんなことを思ってしまっていた。
「そんなに私が気に入らないのか?」
「いいえ。あの、ペルネティアが、破棄したがってるって教えてくれて……」
「は? あいつが?」
するとアルベリックは、険しい顔をし始めてクレメンティアは、おろおろしてしまった。
(私は、笑顔を向けて欲しかっただけなのだけど……)
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