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しおりを挟む「マルジョリー、誤解しないでください」
リオネルは、それでも誤解だと押し通そうとしていた。
それにマルジョリーは不愉快そうにしながら、ウージェニーを助け起こした。
「気安く呼び捨てにしないで。そもそも、誤解しているのは、そちらです。きちんと謝罪を……」
「しなくていい」
「グウェナエル様……?」
「そんな男の謝罪なんて聞きたくない」
そこから、本気で怒ったグウェナエルは怖かった。リオネルの家には容赦なかったし、何ならリオネルにも容赦なかった。
何より、彼が隣国の第3王子だと言うことをマルジョリーは婚約してから知ったのだ。ダサい格好ばかりしていたのも、見目麗しいだけで寄ってくる令嬢たちに辟易したことが発端で、ダサいままでいるようになったことで、第3王子だというのに扱いがぞんざいになってしまっていたようだ。
だから、容姿よりも中身のことで怒るマルジョリーに婚約してから自分の身分を話した時には、マルジョリーは驚いたがそれだけだった。
身分に惹かれたからではないと言いきるマルジョリーにグウェナエルは益々嬉しそうな顔をした。
そう、見た目や身分でコロッと騙され、すり寄って来るような女性が彼は嫌いなのだ。そんな人が浮気三昧するとは思えないし、何よりそうさせていたと暴露されたリオネルに言われても嫌いになっていく一方でしかなかった。
ウージェニーも心配していたというのに利用されていたとわかり、その上、頭のおかしい女とまで言われて考えを改めることにしたようだ。
「ずっと心配していたのに馬鹿みたいだわ。あの、この間は謝りもせずにごめんなさい」
「いいのよ。あ、私はマルジョリー・アルヴィエ」
「ウージェニー・バシュラールです。本当に申し訳ありません。後で両親にも話して、きちんと謝罪します」
「本当に気にしないで。それより、騙されていた話をするといいわ」
ウージェニーは、リオネルを冷めた目で見てからマルジョリーに頷いた。
「騙すだなんて、私は何もしていない」
それでも、リオネルは言い逃れようとしていたが、こんなことがあったのが学園に広まり、リオネルがマリユスのふりをしていたのに気づいた面々も、ウージェニーにしたことを聞いて頭にきたようで今更と思われるかのように苦情と抗議が殺到することになったようだ。
もちろん、マルジョリーもグウェナエルも、ウージェニーもそれぞれが両親に話してきっちりと苦情と抗議をした。
手のひらを返したのが、ウージェニーのことを頭のイカれた女だと言っていた人たちだ。
だが、ウージェニーはそれらをきっちり覚えているらしく、適当にスルーして何も言っていなかった令嬢といたり、マルジョリーとはよく一緒にいるようになった。
それもこれも、リオネルが両親にしこたま叱れれることになり、兄にとんでもない濡れ衣を着せていたこともわかったが、浮気に味をしめて複数の女性と付き合うのがいい男の条件みたいに勘違いしたのは本人にも落ち度があるとして勘当したのを撤回することはなかった。
更には、兄にそんなことをしてマルジョリーを婚約者にしようとして画策したのが知れ渡ったこともあり、家の恥をさらしたこともあり、このままにはしていられないとしてリオネルのことも勘当することにしたのは、すぐだった。
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