親しい友達が、みんな幼なじみみたいな厄介さをしっかり持っていたようです。私の安らげる場所は、あの方の側しかなくなりました

珠宮さくら

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もう1人。残ったヴィリディアンの友達は、婚約を破棄されたらしくイライラしていた。

ヴィリディアンに葬儀の時にあれこれ言ってきた令嬢だ。

彼女が破棄になったのは、婚約していた子息が別の令嬢に本気になってしまったからのようで、破棄になってから元婚約者となった子息と新しい婚約者となった令嬢にネチネチと嫌味なことを言ったり、悪口を言っていた。

最初は、婚約が破棄になったことをヴィリディアンは知らなかった。


「そんなこともわからないの?」
「っ、」
「そんなんで、よく婚約者になれたわね」


1人の令嬢に嫌味なことを言っているのを目撃して、そんなことをするのをこれまで見たことなかったヴィリディアンは首を傾げていた。

あまりにも酷いことを言っているから、ヴィリディアンは止めようかと思ったが、その時は先生に声をかけられて話し込むうち、気付いたら2人ともいなくなっていた。

その後、その友達に何があったかをざっくりだが知ることになり、元婚約者の子息にいい加減にしてくれと怒鳴られているのを目撃した。


「は? 浮気しておいて、私を怒鳴るの?」
「そのことは謝罪して、慰謝料も払って解決したはずだ」
「解決? そんなのするわけないでしょ」


それから、これまでのことを友達の家に苦情と抗議をすると言っても、彼女は自分のしていることを家族に責められることはないかのようにしていた。

まるで人の変わった様子にヴィリディアンは絶句してしまった。


「うわっ、またやってるのかよ」
「いい加減にしてほしいわ」


それが聞こえたのか。自分の味方が大勢いると思っていたようだが、そうではなかった。


「あの令嬢、婚約者が中々みつからないらしいわよ」
「そりゃ、あんなことしてれば見つかるわけがないだろ」
「この学園で、元婚約者の令嬢をいじめてるのなんて、みんな知ってるのにな」
「しかも、自業自得だから助けなくていいって言われてたから、そのままにしていたけど。やり過ぎよね」
「っ、」


どうやら、みんなが味方で見て見ぬふりをしていたわけではなかったようだ。


「なんて、女なの。そんな姑息な手で味方を増やすなんて」
「違うわ! 私、本当に悪いと思っているのよ。でも、流石にこれ以上は……」


限界だと泣いた。

ヴィリディアンも、無理はないと思ってしまった。

その後、友達の令嬢は両親に散々説教されたらしいが、それでもやめることはなかったため、これは手におえないと勘当されることになった。

それでも、何も悪いことなんてしてないと暴れまわっていたようだが、ヴィリディアンがそれを見ることはなかった。

危険だとして学園には行かせなかったようだ。怒り心頭になった友達は、勘当されてからも元婚約者の婚約者となった令嬢につきまとって、捕まったようだ。

ヴィリディアンは、その友達に話しかけられなかった。もう、知っている令嬢とは別人のようにしか見えなかったのと強すぎて近づけなかった。

それこそ、幼なじみや他にもヴィリディアンを怒鳴りつけてきた面々の中でも、一番怖かった。

見ているだけで何もしていないのだ。怒鳴り散らされた令嬢は、本当に怖かったはずだ。


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