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しおりを挟むその後のことをヴィリディアンは、だいぶ後になってから聞いた。
なぜかと言うと……。
「ヴィリディアン嬢。もう、大丈夫なのか?」
「はい」
ディリッパと婚約者やヴィリディアンの友達は、ぶっ倒れたヴィリディアンを見ていたこともあり、ホッとした顔をしていた。色んな人たちに迷惑かけて、心配させたことヴィリディアンは謝っていた。
でも、ヴィリディアンは顔に出さないだけで、まだ疲れていることがあった。
カマルが返り討ちにあった後で、ハーサン公爵家も大変だった。ラジェスが、倒れたヴィリディアンを抱きかかえて帰宅したことで、大騒ぎになったのだ。ならないわけがないが。
「何があったの?」
「熱があるのに無理をしていたようです」
「なんてことなの。すぐに医者を呼んで」
医者は、過労と心労のところに風邪を引いたと診断した。
ヴィリディアンが目を覚ましたのは、倒れて2日後で、熱が中々下がらずに大変だった。
そのため、カマルがどうなったかを聞いたのは、完治してからだった。
まぁ、簡単に言うとダブラル子爵家は養子で跡継ぎにしていたカマルをあっさりと勘当した。
ダブラル子爵夫妻は、ヴィリディアンにどうにかしてもらおうとしていたようだが、ぶっ倒れていたこともあり、頼れないとなって保身に走ったようだ。
学園に通うまで、ゆっくり養生するように言われたため、婚約者のアビシェクがハーサン公爵家によく見舞いに来てくれていた。
「そんなことになっていたのか」
「勝手に私がしていただけです」
そこから、アビシェクは忙しくしていたことを話すか悩んでいるように見えた。
「アビシェク様? 何かあったのですか?」
「……兄上の具合が思わしくないないんだ」
アビシェクの兄は、1人しかいない。王太子殿下だ。病弱な方で、王太子になるのは無理だからと第2王子である弟のアビシェクが王太子になるべきだと言っていたのをアビシェクが頑なに譲らずに王太子が、第1王子となっていた。
「でしたら、王太子の側にいてください」
「……兄上は、ヴィリディアンのことを心配しているんだ。兄のことより、婚約者を気にかけてくれと言われてしまった」
「……」
「だから、ここにこさせてくれ」
「……私にできることは?」
「元気になったら、兄上の見舞いに来てくれ」
ヴィリディアンは、それに笑顔になった。
「えぇ、必ず」
そんなことを約束したのもあり、ヴィリディアンは元気になるなり王太子の見舞いに行ったのだが……。
「やぁ、ヴィリディアン」
「こんにちは。王太子殿下」
「うん。こんにちは」
「……」
ヴィリディアンは、具合があまり良くないと聞いていたのだが……。
「元気そうですね」
「うん。ヴィリディアンが、お見舞いに来てくれると聞いてね。楽しみだなと思っていたら、元気になってたんだ」
「……」
「不思議だね」
「……」
チラッと見るとアビシェクが、何とも言えない顔をしていた。
「それで、ヴィリディアン」
にっこりと笑っている王太子だったが、急に部屋の気温が下がった気がした。
あ、まずいやつだ。そう思ったのは、ヴィリディアンだけではなかった。既にアビシェクは避難していた。
ヴィリディアンは、王太子に説教されることになったのだ。それこそ、アビシェクが全部話したのかと思えば、そうではなくて倒れたと聞いてから調べさせたようだ。
王太子の説教は、中々だった。
それが始まったとわかって、アビシェクに置いて行かれたのも、ヴィリディアンは根に持っていた。根に持っていたとしても、相手は王子だ。
無視するなんてことも出来ずにいざとなったら置いて逃げる方というのが頭に残った。
更にこれまでのことで、幼なじみの時でも助けを求めて来たのを思い出し、情けないところしか見たことないなと思い始めていた。
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