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しおりを挟む「聖女に誰も選ばれなかったそうよ」
「……」
「男爵令嬢は、光るどころか水晶がどす黒くなったらしいわ」
「……それは、ある意味、逆に凄いことですね」
さして興味もなさげにペルマは答えつつ、紅茶を飲んだ。
「それとその前から、学園での成績も上位から急に下位に転落していたとか。……あなたが、学園から消えた辺りかららしいけど、どうしてかしら?」
「さぁ? 王子妃になるべく、教育を受けてお疲れになられていたのでは? 私も最初は要領が悪く大変でしたから」
「そもそも、教育を熱心に受けてなかったようよ。自分は何もしなくても聖女になる素質があるのだから、妃教育なんてしなくても国母になれると言っていたとか」
(それは、おめでたい思考ね。まぁ、何でも出来ていたのは、私の力を貸していただけなんだけど。……あそこまで、おバカでよく学園に入れたものよね)
「第一王子は、廃嫡となったわ。男爵令嬢も聖女になりすまそうとしていたとして平民となった。平民同士、お似合いよね」
「……あの人たちは、どうなりましたか?」
「最後まで、第一王子を推していたせいで、破滅も時間の問題よ」
「そうですか」
「ねぇ、ペルマちゃん」
「はい?」
「破棄された時、笑っていたのは……、こうなることを読んでいたから?」
「笑ってましたか?」
「えぇ、そう見えたわ」
「あの状況で、笑うって、どうなんでしょうね」
「たしかにそうね。私の見間違いね。きっと」
「……」
ペルマは、とにかく聖女となることも、王太子妃になることも望んではいなかった。あの両親の望むままになるのも、嫌だった。
だから、特別な誕生日パーティーを台無しにされる屈辱を我慢する代わりにあの男爵令嬢と第1王子の我儘が現実になるように手を貸した。
全ては、ペルマが自由になるためだ。
(誕生日パーティーを台無しにしてくれて、ありがとう。喜んで婚約破棄されますから、どうぞ勝手に破滅して下さい)
元婚約者も、元男爵令嬢も、実の両親も、こうして勝手に破滅してくれた。
破滅に人を追いやったペルマは、聖女に選ばれるはずがなかった。彼女も水晶に触れば、どす黒くさせたことだろう。でも、ここではそんな認定の儀式はない。
(こんなことをするために頑張ってきたのではないのだけどね)
婚約破棄の騒動で気持ちが沈んでいると思われて、励まし続けてくれた王太子と婚約することになった。
長らく王子妃としての教育を毎日欠かさずにしていたこともあり、何の問題もないと教育係に太鼓判を押されて、頑張ってきたことが無駄になることはなかった。
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