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しおりを挟む「っ!?」
「あ、サラ!」
空き教室に忘れ物をしてしまったことに気づいて取りに戻ったサラは、婚約者のウェルモットが、令嬢とキスしているところをはっきりと目撃してしまった。
ウェルモットは、慌てて令嬢との距離を取ったが、ばっちり嫌なものを見てしまった後だった。
(確か、男爵令嬢のエレン。頭は空っぽなのに男を誑かす才能で、商売が出来るって言われている方よね……? そんな、女にウェルモットまで、引っ掛かっていたなんて……)
サラの友達の令嬢も、彼女と婚約者が浮気していたとわかって、相談にのっていたのが、一昨日の話だ。
「こ、これは、だな」
「これは……? 何だとおっしゃるのかしら?」
「見てわからないんですかぁ~? こういう仲なんですよぉ~」
「エレン! 今は、よせ」
「恥ずかしがることないじゃないですかぁ~?」
「た、ただの友達だ。彼女とは、何でもない!」
エレンは必死に取り繕うウェルモットがムカついたようだが、ここで腹を立てていいのは、サラだけだ。
「あくまでも、仲のいい友達だと言い張るのですか?」
「そ、そうだ! それ以外、な、何があると言うんだ?」
「ちょっ、何言って……」
「お前は黙ってろ!」
へばりつくエレンをついには突き飛ばしていた。さっきまで、いい雰囲気だった相手にすることではない。
「ずいぶんと親密な仲の良さですね。私は、お邪魔なようなので、婚約は破棄しましょう」
「ま、待ってくれ! それだけは……」
「さっさと破棄しちゃってくださいよぉ~。そしたらぁ~、私と婚約してくれる約束じゃないですかぁ~?」
エレンは突き飛ばされて、腰を擦りながらも、またもウェルモットにとって余計なことを言った。
付き合いきれないとサラは、忘れ物を取るなり、さっさと帰宅して家族に報告した。
ブチ切れた両親は、○サラよりも恐ろしいものがあった。
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