母と約束したことの意味を考えさせられる日が来ることも、妹に利用されて婚約者を奪われるほど嫌われていたことも、私はわかっていなかったようです

珠宮さくら

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ミュリエルは、にこにこしながら国王に会っていた。実家にしばらく戻っていたが、その間にパーシヴァルとオリーヴがどんどんいい感じになっているのを見ていた。

もちろん、オリーヴだけでなく、ミュリエルは友達の令嬢たちとも過ごしたが、そんな彼女たちともオリーヴのことで盛り上がってしまったほどだ。

そこから戻って来ていたが、ずっと気になっていた2人が婚約したと父からの手紙で知ることになったことで、笑顔になっていた。


「また、例の令嬢からか?」


それを見ていた国王は、そう聞いていた。


「いえ、父からです。義兄とオリーヴが、婚約したそうです」


そう言うと国王は、優しい目をしてミュリエルのことを見た。


「そうか。可愛い義妹ができたな」
「義妹……?」


その単語にミュリエルは、不自然に固まったのに国王は首を傾げた。


「どうした?」
「いえ、良い響きだと思って」


ミュリエルは、国王の言葉にうっとりとし始めていた。

ミュリエルが思っていた以上に妹が再び、自分にできたことが嬉しくて仕方がなかったようだ。それを噛み締め始めたのは、それからすぐだった。

それを見ていた国王が、何とも言えない顔をしていた。ミュリエルの隣にいるのに自分のことではなくて、別のことで頬を染めるのを微妙な顔をして見ていた。

しかも、相手は異性ではない。同性に対してうっとりとしているのだ。どんな顔をしたらいいのか。流石の国王もわからない顔をしていた。

義妹に嫉妬する日が来るとは、思いもしなかった。それを見ている周りは、国王の機嫌が悪くなっていくのをどうにかしてフォローしてくれと誰もがミュリエルに内心で思っていたが、それに気づくことは、しばらくなかった。

国王の古くからの友人ならば、それを見聞きしていたら腹を抱えて笑っていたことだろうが、それができる者は、この場にはいなかったことでカオスが生まれていた。

でも、古くからの友人もそんなことで国王である悪友を振り回せるミュリエルの天然っぷりを後から知って、笑ってばかりもいられなくなって何かと国王が周りに当たり散らさないようにするのに苦労させられるとは思いもしなかった。


「どうにかしないとまずいな」


そんな風に頭を抱える者が増えることになったが、ミュリエルがそれにも気づくことはなかった。

気づくことはなかったが、国王が仕事がはかどらないと聞きつけると具合でも悪いのではないかと気にかけるようになり、それに喜んでいいのか。国王は分からなくなっていたが、心から心配するミュリエルに負けて何でもないかのように仕事をこなすようになるのを見て周りは……。


「陛下が、お可哀想に見えてならないな」
「そうだな」


そんな風に哀れみではないが、同情的な目で見られることにも国王が悩むことになるとはミュリエルが知ることもなかった。


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