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しおりを挟むそして、3度目の正直というのもおかしいが、オリーヴは再び恋をした。
それが、幼なじみのニコラ・スチュアートと同じ王子を好きになってしまったようなのだ。
ニコラは侯爵令嬢だ。長女のことで色々あってから友達になった。ダルト公爵家で色々あっても、ニコラはオリーヴと仲良くしてくれていた。
学園が始まって、2人のどちらが先に王子を好きになったのかはわからない。多分、同時だった気がする。それだけ素敵な王子だったのだ。
彼は長女のエディスが結婚した元王太子の腹違いの弟だ。今の王太子の実の弟でもある。
「え? 王子はニコラのことを好きなの?」
「そうらしいわよ。みんな、そう話しているもの」
「そうなの」
オリーヴは他の令嬢から、そう聞いて何とも言えない顔をしていた。王子がニコラのことを好きなのを噂で知ったのだ。それは、その令嬢からだけではなくて、他でも耳にしたのだからそうなのだろう。
そんな時にニコラからも、オリーヴは相談されてしまったのだ。
「王子を……?」
「でも、婚約なんて夢のまた夢だから諦めるわ」
「え? 諦めるの?」
「えぇ、オリーヴに話したら、すっきりしたから」
「……」
オリーヴは、それを聞いて2人をくっつけることにして身を引くことにした。
すっきりしたと言いながら、切なそうにしている幼なじみを見ていられなかったのだ。オリーヴは、諦めようとしているが、王子がニコラを好きなのを知らないのだと思った。
想い合っているのにそれが上手くいかないなんて悲しすぎると思ってしまったのだ。オリーヴのお節介でしかない。
好きになっても、上手くいったことがないこともあり、今回も上手くいかない気がしていたのもありオリーヴは、ニコラを好きだと噂を聞いた時に縁がなかったととっくに諦めがついているものと自分では思っていた。
それこそ、あぁ、やっぱりと思ってしまったのだが大きかった。そこで、おとぎ話のような王子を追いかけてばかりいるのも、どうかとも思っていた。そんな人、現実にはいないのだということにも気づいてしまった。
だが、幼なじみと王子が幸せそうにしているのをこれからずっと見るのかと思うと辛くて仕方がなかった。2人が一緒にいるのを見たら、羨ましくて妬ましく思えてしまう。そんな風に思うのは初めてだった。
これまで、姉たちや従姉には抱いたことのない感情にオリーヴは、恐ろしくなった。2人をくっつけておいて、ぶち壊してやりたくなくなってしまったのだ。
どうやら、オリーヴは本気でその王子のことが好きだったようだ。でも、オリーヴは自分でニコラたちをくっつけたのに今更、そんなことに気づいても遅いと思った。必死に今までと同じだったと思うことにした。
それでも、上手くいかなかった。あれこれと考えて、これでは駄目だと留学することにした。
オリーヴの中には、2人をぶち壊してまで幸せになりたいと思う気持ちより、幼なじみと好きな人が幸せになるのを邪魔して嫌われたくないという思いの方が強かったようだ。
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