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しおりを挟むオリーヴは、ビヴァリーがそんなことを言われていたことは全く知らなかった。次女が、それを知っていたら、ビヴァリーを笑うネタになると喜んでいただろう。
だが、オリーヴは彼女たちの周りの令嬢たちと同じように思っていた。どちらかが嘘をついているのか。両方なのかとそう思っていた。
でも、2人とも嘘はついていなかったのだ。そこは、オリーヴは内心で悪かったとアヴリルとビヴァリーに謝罪しているが、2人にわざわざ言葉にしていない。したら、全部を話さなければならなくなる。それをしたら、激怒だけでは済まなくなるのは目に見えている。向こうは、もっと色々しているはずだ。馬鹿正直に話す必要はない。
「いつも、別のところで会ってるみたいだけど、その人って双子なんじゃないの?」
「え?」
弟の言葉にハッとした。それをオリーヴは失念していた。弟は、それか、幽霊とか。なんて言っていたのをオリーヴは聞いていなかった。
弟は、そちらがありそうだと思っていたようだ。学園で、そんな美形がいるなら話題になっているはずだが、双子がいるとはうわさになっていないのだ。だとすれば、幽霊が一番ありそうだと思っていたが、姉は双子に心当たりがありそうだった。
オリーヴは、ふと双子と聞いて、思い出した。どこの子息なのか。身なりの良い子息で、ただ眺めているだけなら、おとぎ話の王子のような子息が街にいたのだ。
だから、お姫様を探しに来たのではなかろうかと思い、オリーヴは初恋の頃のように目を輝かせた。
あんなことになった初恋だ。もはや、あんなのはなかったことにして、これを初恋にできるかも知れない。
丁度、具合が良くなってから、友達となって幼なじみになった令嬢と街に来ていたのだが、彼女が店に忘れ物をしたと取りに戻って行ったのを待っている間のことだった。
さっき会っていると言うのに。その日のうちにたまたま会っても、初めてのように言ってオリーヴのことを全く覚えていなかったのだ。
「オリーヴ? どうかしたの?」
「あー、何でもない。忘れものはあった?」
「えぇ、待たせて、ごめんね」
「なら、もう帰りましょ」
「え? もう??」
幼なじみは怪訝な顔をしていたが、オリーヴは気味悪くなって、その日はさっさと帰った。
だが、それも双子ならばわかる。頭というか。記憶力に問題があったわけではなかったのだ。
「姉さん? どうかしたの?」
「あー、ううん。何でもない」
思い出したオリーヴは、双子でなら全部解決すると思っていたが、学園で双子の話を聞かないなと思ったが、そうでなければ自分が会ったのが生きてる子息ではなかったかも知れなくなるため、深く考えることをやめた。
そうでなければ、背筋がゾワゾワしてしまって、二度目の恋の相手が幽霊だったことになる。それを阻止するためにも、双子であってほしいと思わずにはいられなかった。
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