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しおりを挟むディアーヌとガスパールの婚約は同じ頃に破棄された。あれだけのことをしたのだ。そうならないわけがないが、婚約した時期だけでなく、破棄になる時期まで幼なじみでお揃いにすることはないのにと馬鹿にしている者は、それなりにいた。
「まぁ、長続きするとは思っていなかったけど」
「2人共、あんな間抜けなな理由で婚約破棄になるなんて笑えないわね」
学園では、そんなことを言われていた。
ディアーヌとガスパールのそれぞれの父親は、子供たちに聞いても、妻に聞いても何があったかをはぐらかされていて、最初の頃は首を傾げていたようだ。
フランソワーズの家のようにはならず、父親だけが何があったかを把握することなく知らないままで、全てをフランソワーズのせいにしようとしたのだ。
2人の母親たちが、フランソワーズなら知っていたはず。それなのに何も言わなかったなんて、あんまりだと子供たちに言ったのだ。それを聞いて、その通りだと思ったディアーヌとガスパールは、フランソワーズを怒鳴りつけに来たのが、真相のようだ。そんなわけないのに。これまでのようにフランソワーズのせいにすれば、何とかなってきたのとあって同じことをしたようだ。
あんな勘違いをした後で、何でもないが通じるわけがないのだが、2人とその母親たちも同じような思考をしていたようだ。
ガスパールとディアーヌの従兄や従妹が学園にいたため、隠し通せることはなかった。
従兄たちの各々が家族にその日あったことを話したのが、ガスパールたちの父親の耳にも入って、ようやく何があったかを把握した頃にそれぞれの婚約者の家から苦情と抗議がなされて、婚約破棄の話がなされたのだ。
それこそ、そこまでになってから2人の母親が勘違いしたことと子供たちにそんな風に勘違いしたままら、話していたことも知られることになったわけだ。ガスパールとディアーヌも、それぞれの母親と一緒に勘違いしたのをフランソワーズこせいにして隠そうとしたことで、父親にそれぞれが物凄く怒られることになったのは当たり前のことだった。フランソワーズのせいで片付けられるわけがないのだ。
ディアーヌの従兄は父親の姉が、ディアーヌの婚約者を勘違いしていることを知っていたが、そのままにしていた。
ガスパールの従妹の母親は、姉が婚約者を勘違いしていることに気づいていたが、こちらもほっといて聞き流していた。
どちらも、聞いていておかしいとわかっても訂正しなかったのは、関わりたくなかったからのようだ。
学生時代に仲良くなった面々と今更になって仲良くしているかのようにしているのも気に入らなかった。
散々、それでボロクソに言っているのを聞いていて、仲良くしていたかのようにしているのに呆れていたのもあったようだ。
だが、これまで黙っていたのをあれこれ言い始めたのは、フランソワーズのせいに全てしようとしたと聞いたからが大きかったようだ。
有り難いが、半分以上は迷惑していたのを一層できるチャンスだと思う方が大きかったのは明らかだった。
フランソワーズも人のことは言えないが、そんな人物はかりしかいないのかと思うとやるせなくもなっていた。
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