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次の日。ファビアンが、フランソワーズの婚約した子息の妹を紹介してくれた。あの見かけたことがない美人が、そうだったようだ。


「初めまして、フランソワーズ・ユベールです。あちらでは、兄がお世話になっていたようで」
「エディット・ギヴァルシュよ。私の方こそ、あなたのお兄様にお世話になっているわ」
「そうですか。よかった。ご迷惑をかけた時は、私に言ってください。直させます」
「おいおい、フランソワーズ。その言い方は、あんまりじゃないか?」


エディットは昨日のこともあり、何とも言えない顔をしていたが、フランソワーズと話をするうち、おちゃらけて兄と妹が話すのを見て笑顔になっていた。

兄も、それにホッとした顔をしていた。どこにいようとも兄気質は抜けないようだ。性分なようで何より。フランソワーズのせいで、そうなったのではないと思いたい。頼りになる兄がいて、フランソワーズは嬉しい限りだ。そこに取られる心配などしていない。寂しいと思うが、嫉妬するほどではない。

……直すところが、たくさんあるのはお前だろうと言わないところに兄の優しさを感じずにはいられない。

そのせいか。エディットも、微笑ましそうに見ていた。

そこにガスパールとディアーヌが現れてしまったのだ。


「「フランソワーズ!!」」
「……おはよう」


フランソワーズが、嫌々でも挨拶をしたが2人は聞こえていないようだった。いや、そもそも挨拶をまともに返すことは滅多にない。そのため、期待したこともない。


「どうして、言ってくれなかったんだ!」
「そうよ! あなた、知ってて黙ってたんでしょ!?」
「……いきなり何?」


まぁ、何を言いたいかはわかるが、怒鳴りつけられるいわれはない。不愉快そうにフランソワーズは聞き返した。

どうやら、2人はあれから大喧嘩の末、家に帰って馬鹿げたことを言っていると家族に話をしたようだ。

そこから、フランソワーズのように母親が勘違いして教えたという結論ではなくて、フランソワーズが知っていたのにそのままにしていたことが原因だと思ったようだ。

なぜ、そっちに行くのだろうか?


「私たちの婚約者のことよ!」
「そうだ。お前、知ってたんだろ!!」
「知らない。興味ないから聞いてない」


素っ気なく言うとそれすら気に入らないとばかりにギャーギャー言われた。

そもそも、フランソワーズの方も大変だったのだ。言えないが、言ったら笑いものにされる。この2人が広めないわけがない。

昨日もしかして、自分のこと好きなのかも?なんてことはやっぱりなかったようだ。よかった。そこは、よかったのだが、この2人はどうしてもフランソワーズのせいにしたいようだ。

まぁ、失敗したりすると押し付けて来る連中だが、その延長のつもりなのだろう。……そんな延長しなくていいのだが。


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