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しおりを挟むリュシエンヌは、唯一の友達のことを思い出すことになって、色々あったがそれでもその頃に無邪気に遊んでいた頃のことを思い出して、笑顔となっていた。
その表情を見た家族も、執事や使用人たちも、リュシエンヌの満面の花咲き乱れるような笑みに腰を抜かさんばかり驚いてしまった。
リュシエンヌは、その図鑑の花を思い出してから、再び笑顔を取り戻すことになった。
そして、彼女が笑顔になってから、不思議なことが起こり始めることになったが、それに気づくよりもエーヴァウトの婚約者が留学を早々に切り上げて戻って来た方が目立っていた。
「エーヴァウト! どうして、こんな重大なことを教えてくれなかったのよ!!」
「いや、そっちが手紙に書くこともないだろうからって寄越すなって言っただろ?」
「書くことできたなら、送ってよ!」
「いや、そういう時に送っても、お前、中身を見ないだろ?」
リュシエンヌは、義兄の婚約者を紹介してもらうべく、そこにいたのだが、言い争う二人に困惑した表情をするのも、すぐだった。
「とりあえず、自己紹介でもしたら?」
「っ、そうですよね! 初めまして、私、エリーセ・ヨンクヘールと言います」
「リュシエンヌ・シュトルベルクです。初めまして」
コルネリアの言葉にエリーセは反応して、自己紹介をした。エリーセは、金色の髪と青い瞳をしている可愛らしい女の子だった。その姿が、リュシエンヌの知るかつての友達によく似て見えた。
懐かしい思いがこみあげてきて、にこりと微笑むとエリーセはリュシエンヌの顔を見て顔を赤くさせた。
「?」
「なんて、綺麗なの」
「え?」
「エリーセ。あちらでのことを聞かせてくれる? リュシエンヌも、あなたと同じで、あの花が好きなのよ」
「っ、!?」
エリーセは、コルネリアの言葉に目を輝かせた。よほど好きらしい。リュシエンヌは、その後でマシンガントークを聞くはめになったが、苦痛だと思うことはなかった。
エーヴァウトが遠い目をして、コルネリアがどうにか止めようとしていたが、リュシエンヌはとめどなくあの花のことを話すエリーセのことを気に入ったのは、すぐのことだった。
「あの子、留学して、パワーアップしたわね」
「リュシエンヌを見て、テンション上がってるんだろ」
義理の兄と姉は、エリーセがいなくなってから、ぐったりとしていたが、リュシエンヌは平然としていた。
それこそ、せっかく留学したのにあの花を見ることは叶わなかったと聞いて、リュシエンヌは悲しげにしたが、エリーセはそれまでの花のことを話してくれたのだ。リュシエンヌが生まれた辺りから、数年の間に色んなことが起きたことを彼女はよく調べていると思って感心してしまったほどだ。
だが、それを初めて聞くのと何度も聞いている二人では感慨深さに差が生まれたようだ。元よりあの花にそこまで興味関心のない者には、つまらないのかも知れない。
そんなことをきらきらと話して聞かせてくれていたエリーセを見て、リュシエンヌは懐かしい気持ちが増していた。
あの子も、エリーセみたいに可愛らしく成長しているのではなかろうか。
もしかしたら、エリーセがその子ではないかと期待しているリュシエンヌがいたが、昔のことが出てくることはなかった。
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