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しおりを挟む美しいと周りの国に騒がれるようになったのも、ここ最近のことだったが、密かに花の愛好家たちの間では有名な花となっていた。
そんな彼らが、遥か昔に祝福を受けたとかいうおとぎ話が一番濃厚な線として、あの男性が見つけ出した古い古い文献にたどり着く者は、その後、一人としていなかった。
何か見えないモノが、そこにたどり着くことを何が何でも阻止したいと思っているようだ。
そこにたどり着いてほしくはないが、ジスカールが潤うことには異論がないようだ。他の国も、生まれ変わってまで一緒になりたい者たちの願いも幸せも、それには関係ないのだ。
ただ、自分さえ、一番幸せならば、他の誰が不幸になろうとも、どうでもいい何かが、そこに潜んでいることに誰もたどり着いてはいなかった。
この世界で一番美しい花が咲き乱れるようになったのも、何らかの祝福を受けた者が生まれたのではないかと囁かれているにとどまっていた。
「祝福を持つ者が、他の国に来てくれたら、もしかして花が他国でも咲いてくれたりするのではないか?」
「どうだろうな。それこそ、無理やり連れて行って、花が咲き乱れるどころか、全てが枯れることになって二度と咲かなくなったら、問題だと思うが」
「それも、そうだな」
花が二度と見られなくなることを恐れた者たちは、祝福を受けた者を探すことはしなかった。
それこそ、祝福ではなくて、目印なのだが、そのことをみんなは知らないままだった。
色んな国で異なるように解釈されていたが、ジスカールでは周りの国のように深く追求されることはなかった。祝福を受けた者なんて、そもそもいないと思っていて、そんな話をしているだけで白けた目を向けられるため、誰もそんな話をしていなかったのだ。そのため、貴重な花なのだと思って見ている者も未だに少なくない。全ては金になるだけの雑草。
他の国の見る目のあるようでない者たちにしか、わかってもらえない可哀想な花。必死になって咲いても、所詮は花でしかない。咲き続けるしかできない花に何ができるというのかと言わんばかりに見えない何かが常に嘲笑っているかのようだった。
目印だということにも、生まれ変わった者たちはたどり着けていないのだ。かつて、強く惹かれあい、それでも身分違いで一緒になることを許されることなく、引き離されることになった二人は、その花を見て、お互いを思い出すことにした。
それは死んで生まれ変わってからも、変わらない想いを託す花にもなったのだ。
その純粋な想いと願いによって、花はジスカールで咲き続けてきたのだ。誰に忘れ去られようとも、名前を忘れ去られようとも、願いのこもった花は想い合う二人を巡り合わせようと必死になっていた。
それこそ、神の祝福と言えるのかも知れない。
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