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花のことで、色々と謂れが囁かれ始めていた。

そんな中で、他国に住む植物学者の男性が、あの花の由来やなぜ、あの国でしか咲くことができないのか。急に咲き乱れるようになったことが、気になって仕方がなくなっていた。

他でも、そのことを気にしていた人物がいたかと思えば、急に何かと忙しくし始めて、そのうち花のことにかまっていられなくなっていく者たちが多く現れるようになったが、その男性は違っていた。色々と自分の周りで起こっていようとも、答えを見つけるまで立ち止まろうとしなかったのだ。


「あの国でしか咲かないのだから、絶対に何かあるに違いない。それにあの花を見て、心打たれる者も多い。その答えが、歴史に埋もれたままになるなんて、何かあるはずだ」


そこで、古い文献を片っ端から調べ始めたのだ。すると妻の具合が思わしくないと言われることになって気をもむことになるが、それでもどうしても、その花のことが気になって仕方がなかったのだ。知りたいという欲求が、彼を突き動かしていた。昼間は妻と幼い息子の世話をして、夜に寝静まると黙々と調べ物をしたのだ。

寝不足が続くことになっても、彼は答えを見つけるまで、それをやめることはなかった。

それこそ、具合のよくない妻より、こんな時に古い文献ばかりを漁ってばかりいることに義両親や両親が色々と男に言っていたが、妻はそんな夫である男をずっと応援していた。

そんな娘に彼女の母親も、義母も、協力的になり、幼い息子をどちらも見てくれるようになり、男は眠る間も惜しんで答えを探すことに精を出した。

そして、一つの古い古い文献を目にして、彼は涙した。

あの花は、目印だったのだ。ただ再びめぐり逢いたいという強い願いのもと、咲き乱れていたのだ。


「この願いを叶えたいと思った二人が、再び生まれているのか」


それなのにわかっていないのだ。かたや金儲けに。かたや結婚式で、再び元気に咲き乱れる花が、何を意味しているかに気づいていないのだ。

その中で、その花を見て涙する者たちだけが、溢れるばかりの想いを感じ取っているのかも知れない。


「彼女が、その花を持って結婚できることを誰より望んでいて叶わなかったことを生まれ変わって叶えようとしているんだな。それが、愛してやまない人の願いだから。そうか。これが、答えか」


それを知って涙がとめどなく溢れ続けた。生まれ変わった二人が、そのことを果たして覚えているのだろうか?

身分違いなせいで、一緒になることを許されなかった相手の男性も、覚えているのだろうか?


「数百年の時を超えて、別れ別れになった相手を探しているなんて……」


この男は、そういうのに弱いのだ。あぁ、何か自分にできることはないだろうかと彼は考え始めた。


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