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しおりを挟むそのうち本当にジスカールで結婚式をする者が多く現れるようになった。そのため、教会が至るところに建てられることになった。
全ては、その花を花嫁がブーケにして持ちたいがためだったが、その花を花嫁が持つと萎れていようとも、なぜか元気になるのだ。
「まぁ! なんて不思議なのかしら」
「きっと、祝福されているのね!」
花嫁が、それに大喜びしたことが始まりだった。それを目の当たりにした者たちも、吉兆だと騒ぎになったほどだ。
急速に枯れることはあれど、逆に萎れていたのが嘘のように元気になる姿など、他の花ではけっしてありえない。
恐ろしいともいえる生命力溢れる花に戦慄する者はいなかった。新郎新婦やその結婚式に出席する面々は、いいように捉えたのだ。
まるで、奇跡のように騒がれ、神からの祝福を体現しているかのように口々に新郎新婦たちに注がれることになって、幸せそうにする夫婦が誕生することになったのだ。
それを遠くから見ていたジスカールの国の者は、眉を顰めていた。
「流石は、雑草の中の雑草だわ」
「しっ、」
「っ、」
刈り取っても刈り取っても、翌日には普通に咲くのだ。その生命力があれば、あのくらい奇跡でも何でもないと思ってしまった者がぽつりと呟いたが、それを他所の人たちには聞かれることはなかったことにホッとするばかりだった。
「おい、他所の国の者に聞かれて困るようなことを気軽に言うなら、明日から来なくていい」
「すみません! もう、言いません」
結婚式を取り仕切る男に呼び出されて、女はひたすら頭を下げて謝り続けた。
その日から、下手なことを言うと大変なことになると思った者たちは、笑顔を貼り付けたかのような顔をして愛想よくするばかりとなった。
わがままが多かったが、それにも親切丁寧に対応はしていたが、内心ではボロクソに言っている者ばかりだったことには、気づいていなかった。同じようなことをお腹の中に抱えながらも、他の人たちが笑顔なことから、それを持つことすら、おかしいのかと思うほどになっていったが、ジスカールの者たちの心がそんなことで変わることはなかった。
「やってられねぇぜ!」
「全くだよ」
一度、お酒が入ると愚痴のオンパレードとなり、家の中では結婚する面々を馬鹿にしている者ばかりとなり、ストレスがたまるのか。お酒を飲む量が増える家庭が増えていった。
それで二日酔いとなったり、酒臭く出勤したりして、失態ばかりとなった者はすぐざ首を切られることになり、仕事を失っても、やりたくもない仕事をしていてもストレスがたまることに変わりはなかったのだ。
そんな人たちが裏方を務めていることも知らずに結婚式をしたがる者は増えても減ることはなかった。
それこそ、他所の国から持ち出せるのなら、この国で結婚式をあげたりしなかったが、持ち出せないことで貴重性が増したのだろうと思われていた。
そのため、更に笑顔となる人たちが増えていく一方となっていたが、ジスカールの民たちはそんな人たちを内心で馬鹿にしていて、金づるとしか見ていなかった。
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