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しおりを挟むそれこそ、何もしていないと勝手に増え続けるだけの生命力溢れる雑草よりも、厄介な花でしかないとそう思う者の方が、ジスカールでは圧倒的に多かったため、そこで生まれた者の殆どが、それが当たり前のようになっているところもあるようだ。
だが、奇妙というか。異常なまでに、花の印象が国によって異なり始めたのも、お国柄とでも言うのだろうか。何やら作為的なものを感じるほどに違っていた。
花の呼び方一つでも、それが大きな差を生み出すことになるとは、思ってもみないことだった。常日頃、どういう風に日々を生きているのかが、よくわかるように広まっていっていた。
他所から来ている面々は、雑草と変わらないどころか。物凄く厄介で面倒くさいものとして扱いをされていたなんて知る由もなかった。そんなことを知れば、怒り出すのは一人や二人ではなかっただろうが、ジスカールではそんな面倒を起こす者がいなかったのだ。
そうなれば、双方が花のことを熱弁していただろうが、それが行われたところで平行線を辿っていただろうことは目に見えている。どちらも、その花の咲き乱れる理由に行き着いてはいなかったのだ。理由をしっていれば、どちらが何を言い合っていようとも、その花には他人事でしかない。花は目的を果たすまで、咲くことをやめはしない。もし、目的を果たす前に咲かなくなれば、その時は何かが起こった後だということだ。
「まぁ、何にせよ。こんな花が役に立つ日がきたんだ。今まで迷惑していた分くらい稼がせてもらっても罰はあたらないだろ」
「確かにそうだな。これを見つけるとげんなりしてばかりいたが、最近じゃ咲いてるのを見て嬉しく思うようになったから、不思議だ」
そんな風に会話がなされていた。男も、女も、老いも若きもが、こぞってその花を笑顔で摘んだ。
ジスカールの国中に笑顔の人たちが増え始めていた。その笑顔につられるように他所から来た人たちも笑顔となって、笑い声が溢れる国となった。
表面上は、笑顔でもそれぞれの出身国によって、内心ではどう思っているかが異なっていたが、そんなことになっていることに気づく者はいなかった。
その花のことで、大きくではなくて、少しずつ変わり始めたのも、その辺りからだった。
そんな花が、ジスカールでしか咲かない花とわかり、有名となっていくのも早かった。それこそ、それまで知らなかったことが不思議なくらいなのだが、そのことに疑問を持つ者は稀だった。
まるで何かを祝うかのように急激に咲き乱れるようになり始めて、その国でのみ咲いて増えていくのだ。花自体が、ここにいると世界中に広がっていけない代わりに人々が口頭で告げしらしているかのように隅々にまで、花の存在が知れ渡るのに大した時間はかからなかった。
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