両親や妹に我慢を強いられ、心が疲弊しきっていましたが、前世で結ばれることが叶わなかった運命の人にやっと巡り会えたので幸せです

珠宮さくら

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ジスカールの国に立ち寄った二人の男性がいた。友人夫妻が、力説した花を見に立ち寄ったところだ。


「本当にこの国から持ち出せないんだな」
「何というか。この国らしい花だな」
「そうか? こんなに美しいのにこの国らしいわけがないと思うが?」
「そうだな。ここでしか見れないようにしているのが、ここの国の人間なわけでもないようだから違うよな。それにしても、持ち出しができないなんて、不思議な花があるもんだな」
「ここにくれば、見れるんだから、どうでもいいさ。次は、家族を連れて見に来るか」
「そうだな。野郎二人で見ても、何だしな」


仕事のついでに立ち寄った男たちは、そんなやり取りをしていた。

その花を見られるのはジスカールだけとなり、その花の素晴らしさを旅行客たちが帰国してから恍惚とした表情で話すうちに有名な花になるのに大した時間はかからなかった。

それこそ、高いお金を支払っても、持ち帰れないというのにその国にいる間は、所有しているだけで満足する貴族が多かった。

花に対しての価値を金額にしているに過ぎなかったが、ジスカールで花を売っている者たちには理解できることではなかったようだ。







その花は他所の国の者たちにとっては、とても美しい花に見えるようだ。

太陽に当たると色合いが変わったように見えるのだから無理はない。煌めき風に揺れる花に魅了され、目を奪われることになるのだ。

いや、実際に他国では見かけないほどにとても美しいのだが、ジスカールでは何がそんなに魅了されるようなところがあるのかと多くの人たちが首を傾げたくなるような花となっていた。見た目ではなくて、刈り取っても、どこからともなく咲き出すことしか見ていないからかも知れない。

それは、純粋無垢な時に大人たちに何も言われず戯れていた頃ならば、同じように美しく見えていたのだが、成長するにつれて、その花に関われば関わるほどに大人たちが言うように厄介さと面倒さから、雑草のようにしか見えず、美しいなんて気持ちもいつの間にやらどこかに消えてしまうのだ。

子供の頃のことを思い返す者もいなかった。ただ、大人たちと同じように大人になるとげんなりしてしまうのだ。


「この花が、美しいのか?」
「雑草にしか見えないけどな」
「他所から来た連中のところじゃ、花もほくに咲いてないのかもな」
「そんなところなら、仕方がないだろうな」


そんな失礼なことを言う者までいた。どちらがおかしいかというとジスカールの国の者たちは、他国から来た者たちみんながおかしく見えて仕方がなかった。この花に金を惜しみなく出すことすら、馬鹿だとすら思っていた。そんな価値なんてないと思っていながら、必死になって花を摘んでは売っているのだ。それでも、花が刈り尽くされることはなかった。


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