両親や妹に我慢を強いられ、心が疲弊しきっていましたが、前世で結ばれることが叶わなかった運命の人にやっと巡り会えたので幸せです

珠宮さくら

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ジスカールでのみ咲く花は、太陽に当たると光り輝くように煌めいて違った色合いを見せくれていた。その花は、どんな状況下でも同じ色合いで咲き続けることを決してやめることがなかった。

どんな劣悪な場所であろうとも、誰に何を言われようとも、どんな扱われ方をしようとも、その国で生えていないことはなかった。

使用人や平民たちは、それを見かけると勝手に増えていく厄介な代物としか見ていなかった。そのため、見かけると大概の者がげんなりとした表情をジスカールの者はするようになっていた。

それこそ、早く対処しなければ大変なことになるのもわかっていて、愚痴ってばかりいても仕方がないと思いつつ、出てくる言葉は常にその花への不平不満ばかりとなっていた。


「嫌だね。最近は、やたらと増え始めているのを色んなところで見かけるわ」
「教会の周りも、そうみたいよ。あそこは、滅多なことじゃ人が寄り付かないから、気づいた時には凄いことになっていたらしいわ」
「教会? そりゃ、用もないのに近づかないから、増えても気づきゃしないだろうさ」


一面が、その花に占拠されていて、教会を管理している者たちは絶叫したらしい。この国の人間に信仰心なんてなかった。教会はあるが、冠婚葬祭しか、そこを訪れる者などいなかった。

だから、管理している者がいても、仕事をしているようで、サボってしまっても怒られることはないと思って放置していたのだろう。

それが、手痛いしっぺ返しをくらったことが簡単に想像できた彼女たちは、これでもかと嫌そうに眉を顰めていた。そんなことにだけは、自分が任されているところをさせるわけにはいかない。


「全く、何だって言うんだか。それをどうにかしなきゃならない者のことをちょっとは考えてほしいもんだよ。まぁ、花にそんなことぼやいたってわかりゃしないだろうけどね」
「本当にそうね。それこそ、私たちの苦労が欠片でもわかれば、こんなに呑気に咲けはしないと思うけど」


風で揺らめく花を忌々しそうに見ていた。

そんな風にジスカールに住む者には、その花はあまり歓迎されてはいなかった。むしろ、煩わしいとすら思われていて、すっかり嫌われてしまっていた。

その花を好むのは、無垢な子供たちくらいだった。まだ、その花のことをよく知らないのと大人たちが口々に言うのを聞くうちにそんな子供たちは成長するとその花を嫌うようになってしまっているのが、この国の現状だった。

そんな花を子供が好きだと言うのを聞くのも、大人たちは嫌そうにするのも多かった。大人たちのそんな姿を見て、子供たちの多くが、その花への認識を改めていくことに繋がっていた。

その連鎖が、ジスカールの奥底に根付くことになったのだ。それが当たり前になる国になってしまっていても、それが普通となってしまっているため、疑問を持つ者すら、そこには滅多にいなかった。

ただ、その花が悪意ある花だと認識され続ければ満足なような何かが、そこにあったがそれに気づく者もいなかった。


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