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しおりを挟むまぁ、何とかギリギリになって班は5人となった。そのせいで、凛と結愛の行きたいところを中心としたスケジュールとなってしまい、後から班に加わった面々には申し訳ない気持ちが大きかった。
まぁ、結愛と行きたいところが、殆ど被っていたことで、彼女のカレシである碧人は張りきったに違いない。
そう、凛がわがままを言ったからではないはずだ。
(何で、こうなるかな)
凛は、2回目の修学旅行で驚かされることになった。前の学校の社会科見学と日程が被ってしまったようだ。
(そういえば、そんなのが二学期にあるんだっけ。あれって、ここらへんだったんだ。……懐かしいな。あの制服。今は、こっちの制服の方が可愛く見えるけど、前はあの制服が一番に見えてたんだよね。不思議だな)
そんなことを思って、きょろきょろしていると元親友がいるのを見つけてしまった。
(げっ、何で一番会いたくない人たちを先に見つけちゃうかな)
そこでは、明穂と凛の元カレの湊が手を繋いで歩いている姿を見ることになった。それに凛は、げんなりした顔をしてしまった。クラスが違うのにクラスごとに動いていないことに眉を顰めてしまった。
凛が会いたかったのは、この二人にではない。
「あれ? 凛じゃん!」
「え?! 嘘。本当に凛だ!」
他の友達に見つかって、凛はぎこちなく笑っていた。
「凛、何で……?」
「あー、新しい学校の修学旅行中」
「え? 何それ!?」
「修学旅行、2回も行けるんだ。いいな~」
そう言いながらも、明穂は湊と手を繋いだままでいた。湊は気まずげにするでもなく、ムスッとしていた。明穂は、勝ち誇った顔をしていた。
「二人って、付き合ってるの?」
「え? 知ってるんじゃないの??」
「あ、間違えた。まだ、付き合ってるんだ。私と別れる前から付き合ってるようなものだから、とっくに愛想つきてるかと思ってた」
友達は、それを聞いて吹き出していた。
明穂と湊は、それに頭にきたようだ。
「ちょっと、失礼なこと言わないでよ! 別れるわけないでしょ!」
「そうだ。お前には関係ないだろ!」
(確かに。もう、関係ないけど。前から、浮気してたことは否定しないのね)
こんな風にばったり会うことになったのだ。嫌味なことを言うくらい許されるのではなかろうか。
(そっちは散々、私のこと馬鹿にしまくってるみたいなのに。言われ損じゃん。ある意味、お似合いなんだろうけど)
知りたくはなかった。会ったら、言ってやりたいことがあったはずなのに。罵詈雑言なんて浴びせかけるレパートリーなんて凛にはなかったのだ。
(く、悔しい! 言い返せない。さっきのが、最大の嫌味で終わるなんて、こんなので終わるの嫌だな。他に何かないかな。何でもいい。この2人にやり返せたら、どんなことでもいいのに!)
凛は、何か言ってやりたいと思っても思いつかずにいたが、心中ではそんなことを思っていた。
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