18 / 31
18
しおりを挟む(何よ。わかってくれてたんじゃないの? そもそも、直そうと協力してくれてるのかと思ってたけど、ただ単に面倒くさくなって放置し始めてただけじゃない!? しかも、先によそよそしくなっておいて、私が浮気を始めてると思うって、何なのよ!!)
しばらく湊からは考えると言われたが、これだけ不満しかないのだ。別れる以外に何ができるというのかと思ってしまった。
凛はモヤモヤする気持ちがおさまらずに考えることもないと別れることにした。さっさとそうすべきだったのだ。
「は? 別れる? そんなことしたら、お前が困るだけだろ。新しいマンションから、学校までの行き来で迷うだろし……」
「待って! 私、親が転勤になって引っ越すかもとは言ったけど、一人暮らしして残るとはまだ言ってないよね?」
「あー、いや、他の奴に聞いたんだよ」
「……」
(他って、私がこの話をしたのは明穂だけしかいないんだけど? というか。これって、私が彼を呼んで話す必要なかったってことじゃない?)
凛は、湊の物言いと筒抜けになっていることに腹が立ってきていた。そんな風に怒りを覚えるのは凛には珍しいが、そう思うのは初めてではない。彼には、イラッとさせられてきたことが何度かあった。思い起こせば、普通ならとっくに別れていてもおかしくなかったことにようやく気づかされていた。
「その人に学校までの行き来まで私に付き合わされることになるんじゃ、カレシやるのも大変とか言われたの?」
「まぁな。小中と半年も迷うようなのに付き合いきれるのは、俺くらいしかいないって言われたな」
「っ」
(その誤報が出てくるなら、こんな決定的なことないわよね。そういうことだったんだ。馬鹿みたい )
その話を聞いて、明穂だと確信した。彼女だけなのだ。半年近くも迷いに迷っていると思っているのは、彼女とその母親だ。
正確には、半月なのだ。学期ごとに転校していた頃に方向音痴で、そんなことになって母に泣きついたことがあるのも、その時が最後だった。
(随分明穂と仲がいいみたいね。仲がいいというだけじゃ、おさまらないくらいだわ。なんか、周りの友達がよく付き合えるって言ってた意味が、今になってわかったわ。これじゃ、距離おかれるのも無理ないわ。何で、気づかなかったんだろ)
凛は自分の見る目のなさに情けなくなってきていた。
もう、目の前にいる男子生徒のどこがそんなに好きだったのかが、凛はわからなくなっていた。
「そう。でも、付き合う必要ないよ。もう、別れるんだから」
「は? だから、そうなるとお前が……」
「浮気を疑うなんて、よく言えたわね。今の会話で、こっちが疑うことばかりじゃん。なのによくも、私のせいみたいに言えるわね。私が、親の転勤を知ったのは、先週よ!」
「え? いや、そんなはずは……」
「それに私が言ってることをすぐに信じもくれないのにこのまま付き合っていけるわけないじゃん」
湊は、わけがわからない顔をしていたが、凛は話が終わったとばかりにその場を去った。
怒り狂って帰宅したが、凛は気づくときちんと家に帰れていたことに思わず苦笑してしまった。
(こういう時には迷わないのね。変なの。……なんだかんだいっても、自力でどうにかできるものよね)
74
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

片思いに未練があるのは、私だけになりそうです
珠宮さくら
青春
髙村心陽は、双子の片割れである姉の心音より、先に初恋をした。
その相手は、幼なじみの男の子で、姉の初恋の相手は彼のお兄さんだった。
姉の初恋は、姉自身が見事なまでにぶち壊したが、その初恋の相手の人生までも狂わせるとは思いもしなかった。
そんな心陽の初恋も、片思いが続くことになるのだが……。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる