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しおりを挟む(何よ。わかってくれてたんじゃないの? そもそも、直そうと協力してくれてるのかと思ってたけど、ただ単に面倒くさくなって放置し始めてただけじゃない!? しかも、先によそよそしくなっておいて、私が浮気を始めてると思うって、何なのよ!!)
しばらく湊からは考えると言われたが、これだけ不満しかないのだ。別れる以外に何ができるというのかと思ってしまった。
凛はモヤモヤする気持ちがおさまらずに考えることもないと別れることにした。さっさとそうすべきだったのだ。
「は? 別れる? そんなことしたら、お前が困るだけだろ。新しいマンションから、学校までの行き来で迷うだろし……」
「待って! 私、親が転勤になって引っ越すかもとは言ったけど、一人暮らしして残るとはまだ言ってないよね?」
「あー、いや、他の奴に聞いたんだよ」
「……」
(他って、私がこの話をしたのは明穂だけしかいないんだけど? というか。これって、私が彼を呼んで話す必要なかったってことじゃない?)
凛は、湊の物言いと筒抜けになっていることに腹が立ってきていた。そんな風に怒りを覚えるのは凛には珍しいが、そう思うのは初めてではない。彼には、イラッとさせられてきたことが何度かあった。思い起こせば、普通ならとっくに別れていてもおかしくなかったことにようやく気づかされていた。
「その人に学校までの行き来まで私に付き合わされることになるんじゃ、カレシやるのも大変とか言われたの?」
「まぁな。小中と半年も迷うようなのに付き合いきれるのは、俺くらいしかいないって言われたな」
「っ」
(その誤報が出てくるなら、こんな決定的なことないわよね。そういうことだったんだ。馬鹿みたい )
その話を聞いて、明穂だと確信した。彼女だけなのだ。半年近くも迷いに迷っていると思っているのは、彼女とその母親だ。
正確には、半月なのだ。学期ごとに転校していた頃に方向音痴で、そんなことになって母に泣きついたことがあるのも、その時が最後だった。
(随分明穂と仲がいいみたいね。仲がいいというだけじゃ、おさまらないくらいだわ。なんか、周りの友達がよく付き合えるって言ってた意味が、今になってわかったわ。これじゃ、距離おかれるのも無理ないわ。何で、気づかなかったんだろ)
凛は自分の見る目のなさに情けなくなってきていた。
もう、目の前にいる男子生徒のどこがそんなに好きだったのかが、凛はわからなくなっていた。
「そう。でも、付き合う必要ないよ。もう、別れるんだから」
「は? だから、そうなるとお前が……」
「浮気を疑うなんて、よく言えたわね。今の会話で、こっちが疑うことばかりじゃん。なのによくも、私のせいみたいに言えるわね。私が、親の転勤を知ったのは、先週よ!」
「え? いや、そんなはずは……」
「それに私が言ってることをすぐに信じもくれないのにこのまま付き合っていけるわけないじゃん」
湊は、わけがわからない顔をしていたが、凛は話が終わったとばかりにその場を去った。
怒り狂って帰宅したが、凛は気づくときちんと家に帰れていたことに思わず苦笑してしまった。
(こういう時には迷わないのね。変なの。……なんだかんだいっても、自力でどうにかできるものよね)
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