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しおりを挟むそれこそ、カレシを話があるかと呼ぶのは凛からは久々な気がする。
(あれ? そういえば、私から誘うのって、いつぶりだっけ?)
かなり前の記憶しかなくて、凛はそもそもカレシとどこかに出かけるのに必死になったことがなかったかも知れないと思ってしまった。特にあの夏休み以降は、どこに出かけても山登りの時のようになるのではないかと内心で思ってしまっていたのだ。
それに気づいて何とも言えないまま、呼びつけたのだからと本題のさわりに触れたところで……。
「は?」
「何、その反応」
(思ってたのとどれも違うんだけど。混乱させすぎたかな? まだ、全部を伝えてはいないんだけど、ここまででそのリアクションされると続きを話しづらいな)
真剣に凛は話したのだが、カレシの湊が間抜けな声を発して間抜けな顔をしたのが最初だった。
その後、湊はぽつりと話し始めて、その言葉に凛の方が、は?というリアクションをしたくなったのは、すぐだった。
どうやら彼がよそよそしくなったのは、凛に他に好きな人ができたと思ってのことが大きかったようだ。
そう、凛が心変わりしたようだから、ぞんざいに扱い始めて、そのうち放置することにしたらしい。
だが、それを聞いていて凛がおかしいことに気づいたのも早かった。
(ん?? でも、それって変だよね? 時間軸がおかしい)
湊の話を聞きながら、凛は眉をしかめずにはいられなかった。
「何、それ。よそよそしくなったのって、そっちが先だと思うけど?」
「そんなことないだろ!」
「……」
(親の転勤は、つい最近なのに。何を言ってるのよ。何でもさ、私が先だって言われなきゃならないんだから。こっちが、わけかわからないんだけど)
湊は、凛か親が引っ越すと言うと間抜けな顔をして、そんなことを言ってきて思わず言い返したら、ようやく彼は溜め込んでいたことを話し始めたのだ。
しかも、方向音痴なのが全くよくならない凛を煩わしいと思っているようで、そのこともグチグチと言われることになって、凛は今更そんな不満をぶつけてくるのかと思ってしまった。
「毎回、よく知りもしないとこばっかにデートして、行きも帰りも面倒みてられるかよ。こっちの身にもなればわかるだろ」
「……」
そんなことを言う湊に凛は、ムッとしてしまった。
それは、付き合い始めの頃の話だ。それから、どうなったかが抜けている。それに不満があったなら、そのことを言ってくれればよかったはずだ。
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