彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです

珠宮さくら

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凛は、転校ばかりを繰り返していたこともあり、人付き合いをセーブしていたため、それをしなくなった途端、友達を増やすことになったのだ。

まぁ、周りに色々誤解されているのだろうと思ってはいたが、凛はあまりその辺りのことを気にしたことはなかった。

そこを気にしていたら、この先のことが変わっていたかも知れないが、この時の凛にとって相談するなら誰にするかで、すぐに顔が思い浮かぶのは明穂だった。

そんなこともあり、他の誰かに話すよりもすんなりと彼女に凛は話すことができた。


「そっか。転校するとなると凛には大問題だもんね」
「そうなんだよ」


物凄い方向音痴なことを知っている彼女は、マンションに一人暮らしになっても、そこからの行き来が大変だろうとすぐに大丈夫なのかと聞いて来た。やっぱり、親友だけはいる。


「慣れれば、大丈夫だと思うけど」
「そんなこと言って、小中の時は半年くらい迷いに迷ってたでしょ? 高校は、それより近くなっても、油断すると迷うって言ってたじゃん」
「っ、それは……」


小中の話は誇張にすぎない。凛の母親が、明穂の母親にしたのだ。正確には、迷ったのは小中の時の半月だ。学校が変わるたびに道を覚えきれずに迷いに迷っていたのは確かだが。


(母さんも、どうして明穂のお母さんにそんな話をしたんだか。何度、訂正しても信じてもらえないんだよね)


昨日と違う道になると迷いやすくなるらしく、休み明けが危ないことも事実だが、それは同じ制服を着てる生徒がいれば問題ない。

ただ、帰る時が危ういのだ。まぁ、最短で学期ごとに転校することになれば、余裕がなくなっても無理はないと思う。

明穂は、転校したこともなく、ずっと同じところにいてわからないのもあるのだろう。


(小中高と一緒の人もいるようなのにその子たちと話してるのをそういえば一度も見たことないんだよね。あんまり仲良くなかったってことかな?)


ふと気になることもあったが、それを明穂に聞くことはなかった。今は、そんなことより転勤に着いていくかだ。


「まぁ、凛には優しいカレシがいることだし、送り迎えしてもらえるんだから、このまま残れば? 大学だって、近くのとこにするんでしょ?」
「そこなんだよね」


彼女は、何かと親身になってくれ、後押しもあって、ようやく凛はカレシの湊に話をすることにした。

そこに至るまで数日を要した。


(なんか、告白された時より緊張するな。あの時は、告白されるとは思ってなかったから、かなりびっくりしたのに。なんか、かなり昔みたいになってるな)


凛は、最近会っていないカレシに会って話したいことがあると伝えて、顔を見て話すことにした。


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