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しおりを挟む父の転勤が決まった話を聞いて凛は思い悩んだ末に最初にしたのは親友の明穂だった。というか、溜め込んでいられなくて明穂に半泣きになって話してしまったが、彼女の方が冷静でまるでそんなことで人生の終わりみたいに思っているのかという態度に一気に冷静になってしまった。
(私としては、人生の帰路なんだけどな。親友からしたら、大したことないように感じるものなのかな? ……私が逆の立場なら明穂が転校するって聞いたら、動揺すると思うけど)
そんなことを思ったが、親友に話たら選択肢があるようで選ぶ道は一つしかないと思ってのことだったのかも知れないが、ちょっとくらい共感してくれてもよかったと思っていた。
明穂は高校に入ってからできた友達なのにすぐに親友になれたのも、小中からの友達かのように意気投合したことが大きかった。
(まぁ、最初は新しい環境に慣れてないせいか。とっつきにくいところがあったけど、転校をよくしていた私とは違うと入学、卒業くらいしか、出会いと別れなんてそうそう経験しないものね。私は、逆にみんなが同じくドキドキそわそわしていたから、冷静でいられたけど。……あれ? これって今の状況と似てるかも)
それこそ、あまりにも明穂と仲良くしていて、ずっと昔からの付き合いだと思っている者の方が圧倒的に多かったほどだ。
1、2年の時は同じクラスだったが、3年になって別々となって、どちらかのクラスに遊びに行っていて、どちらのクラスの面々に小学校くらいからの付き合いの良さだと言われたことに凛たちは笑ったが、周りにはそう見えていたようだ。
「明穂さんとそんなに仲良くできる女子も珍しいよ」
「え?」
(どういう意味だろ?)
凛は理由がわからなくて首を傾げていたら、苦笑されてしまった。
「まぁ、凛だから付き合えるんだろうね。凛、付き合いいいし」
「そうかな?」
「そうだって」
「……」
時折、他の友達からそんなことを言われることはあった。
(確かに明穂が、私以外の女子といるのを見たことない気がするな)
1、2年の頃はクラスが一緒で気がつかなかったが、3年になって彼女のクラスに行くとぽつんと一人でいるのしか見たことがない。
逆に凛はクラスが変わってから新しい友達がたくさんできた。明穂がクラスに遊びに来るとそんな友達が蜘蛛の子をちらしたかのように離れていくのは、いつものことだったがあまり気にしたことはなかった。
(明穂って、意外に人見知りなのかな? いや、この場合、みんなが人見知りってことになるのかな??)
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