彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです

珠宮さくら

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(勉強しながら、付き合うことになるとは思わなかったな。でも、楽しそうで何より。……私は、湊と勉強会なんて試験前のヤマの話くらいしかしたことなかったな。何だか、物凄く羨ましいな)


その辺の話を親友にしても惚気だと一蹴されてしまっていて、深く考えすぎだと言われることになった。

凛はそうなのかと思って気にしすぎないようにはしていたが、羨ましいことに変わりはなかった。

そんな風になっていることもあり、凛はこのまま今の高校を卒業して近場の大学を受けて、方向音痴に縛られながら、狭い世界で生き続けるのかと思うとげんなりし始めていた。


(最近、避けられているのも、方向音痴うんねんは関係ない気がしてきたな。……言いたいことあるなら、はっきりと言ってくれたらいいのに)


カレシとこのまま別れることになったとしても、仲の良い友達や親友だっているのだ。これまで我慢していた分、一生の友達になればいいと付き合いを我慢して一線引いて距離を保っていたのと違って、このまま引っ越したら確実に大泣きする。別れる時は、卒業の時だと思っていた。


(カレシより、友達と離れるのは一番堪えそうだな。明穂も、湊と同じくらい出かけてばっかりいて、全然一緒に遊びに行けてないし。相談には変わらずのってくれてるから、離れたら寂しくなるのかな……?)


友達なんて、凛くらいしかいないと本人も言っていたが、明穂を誘っても忙しいと言うようになったのだ。新しい友達ができたと凛は聞いてはいないが、やたらと楽しそうにしているのを見て、問い詰めることもしなかった。

同じくらい湊も、やたらと忙しそうにしているようで、自慢してどこに行ったと相変わらず話しているようだが、凛とではなかった。

どちらも、交友関係を広げているのだと思っていたが、広げているわけではなかったことに凛はだいぶ後になってから気づいた。

2人は、他の誰かと仲良くしているわけではなかったのだ。近場では、誰かに目撃されるから、遠くのところで、ばったり会ったかのようにして、遊んでいたようだ。

そんなことを凛は耳にしていたが、偶然に出会ったなら、前々から凛を介して仲良くしていたのだから遊ぶことになっても問題ないかと思って聞き流していたが、突き詰めれば偶然なんかではなくて計画的だったことにもっと早く気づくべきだったのだ。

だが、それに気づくことなく、凛は悩んでいた。

今通っている高校から離れずに済むなら、残る方がいいのかも知れないが凛は、どうしたらいいのかがわからなくなっていて、答えをずっと保留にしてしまっていた。

でも、流石にきちんと決めないといけない手続きもあるのだ。凛はよそよそしくなったカレシにではなくて、親友に思いの丈を聞いてもらおうと両親に引っ越しのことを聞いてから何かと話を聞いてもらっていた。

親友だからこそ、すぐに打ち明けられたのだ。親しい友達の中でも、彼女は別格だった。そう思いたかったのかも知れない。

高校に入って初めてできた友達で、同じクラスだったこともあり趣味趣向も似ていて、あっという間に親友にまでなった。

カレシができたのも、親友の後押しがあったからこそだった。そうでなければ、凛は告白もしていなかったし、付き合ってもいなかった。

全ては、親友が応援してくれて頑張れたからだと凛は思っていた。


(きっと、いい方向に今回もアドバイスしてくれるはず。あー、でも、頼り過ぎてるかな。自分のことなのにこんなことまで話されても、困るだけかな)


そんなことを凛は最初思ったが、親友はそんな心配をよそに自分のことのように考えてくれているものと思っていた。


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