14 / 31
14
しおりを挟む(勉強しながら、付き合うことになるとは思わなかったな。でも、楽しそうで何より。……私は、湊と勉強会なんて試験前のヤマの話くらいしかしたことなかったな。何だか、物凄く羨ましいな)
その辺の話を親友にしても惚気だと一蹴されてしまっていて、深く考えすぎだと言われることになった。
凛はそうなのかと思って気にしすぎないようにはしていたが、羨ましいことに変わりはなかった。
そんな風になっていることもあり、凛はこのまま今の高校を卒業して近場の大学を受けて、方向音痴に縛られながら、狭い世界で生き続けるのかと思うとげんなりし始めていた。
(最近、避けられているのも、方向音痴うんねんは関係ない気がしてきたな。……言いたいことあるなら、はっきりと言ってくれたらいいのに)
カレシとこのまま別れることになったとしても、仲の良い友達や親友だっているのだ。これまで我慢していた分、一生の友達になればいいと付き合いを我慢して一線引いて距離を保っていたのと違って、このまま引っ越したら確実に大泣きする。別れる時は、卒業の時だと思っていた。
(カレシより、友達と離れるのは一番堪えそうだな。明穂も、湊と同じくらい出かけてばっかりいて、全然一緒に遊びに行けてないし。相談には変わらずのってくれてるから、離れたら寂しくなるのかな……?)
友達なんて、凛くらいしかいないと本人も言っていたが、明穂を誘っても忙しいと言うようになったのだ。新しい友達ができたと凛は聞いてはいないが、やたらと楽しそうにしているのを見て、問い詰めることもしなかった。
同じくらい湊も、やたらと忙しそうにしているようで、自慢してどこに行ったと相変わらず話しているようだが、凛とではなかった。
どちらも、交友関係を広げているのだと思っていたが、広げているわけではなかったことに凛はだいぶ後になってから気づいた。
2人は、他の誰かと仲良くしているわけではなかったのだ。近場では、誰かに目撃されるから、遠くのところで、ばったり会ったかのようにして、遊んでいたようだ。
そんなことを凛は耳にしていたが、偶然に出会ったなら、前々から凛を介して仲良くしていたのだから遊ぶことになっても問題ないかと思って聞き流していたが、突き詰めれば偶然なんかではなくて計画的だったことにもっと早く気づくべきだったのだ。
だが、それに気づくことなく、凛は悩んでいた。
今通っている高校から離れずに済むなら、残る方がいいのかも知れないが凛は、どうしたらいいのかがわからなくなっていて、答えをずっと保留にしてしまっていた。
でも、流石にきちんと決めないといけない手続きもあるのだ。凛はよそよそしくなったカレシにではなくて、親友に思いの丈を聞いてもらおうと両親に引っ越しのことを聞いてから何かと話を聞いてもらっていた。
親友だからこそ、すぐに打ち明けられたのだ。親しい友達の中でも、彼女は別格だった。そう思いたかったのかも知れない。
高校に入って初めてできた友達で、同じクラスだったこともあり趣味趣向も似ていて、あっという間に親友にまでなった。
カレシができたのも、親友の後押しがあったからこそだった。そうでなければ、凛は告白もしていなかったし、付き合ってもいなかった。
全ては、親友が応援してくれて頑張れたからだと凛は思っていた。
(きっと、いい方向に今回もアドバイスしてくれるはず。あー、でも、頼り過ぎてるかな。自分のことなのにこんなことまで話されても、困るだけかな)
そんなことを凛は最初思ったが、親友はそんな心配をよそに自分のことのように考えてくれているものと思っていた。
50
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

片思いに未練があるのは、私だけになりそうです
珠宮さくら
青春
髙村心陽は、双子の片割れである姉の心音より、先に初恋をした。
その相手は、幼なじみの男の子で、姉の初恋の相手は彼のお兄さんだった。
姉の初恋は、姉自身が見事なまでにぶち壊したが、その初恋の相手の人生までも狂わせるとは思いもしなかった。
そんな心陽の初恋も、片思いが続くことになるのだが……。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる