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エピローグ

前編

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「え?」
「どうした?」


学園でも、他でも、フィオレンティーナの左右をオギュストとコルラードが自然と座るようになっていた。

それにフィオレンティーナも、ようやく慣れ始めた頃に図書館でたまたま借りた本に見知った顔を見つけた。

それは、本当にたまたま手に取った本だったが、その中の写真に見覚えのある顔があった。


「えっと、この方、前世の私に似てるなと思って驚いてしまって……」


左右から、驚いたように覗き込まれ、正面からは養母が覗いた。それを見て、すぐに誰だかわかったようだ。


「フィオレンティーナ様、この方が行方不明になられた方ですわ」


クラリスが写真を見れば誰だかわかったのは、彼女の実家にはずっと肖像画が飾られていたからのようだ。

それにもフィオレンティーナは驚いた。事実をすべて明るみにするのも難しいが、クラリスの実家では行方不明になったが、別の世界で幸せに暮らして花に囲まれていたと新しい花の守り手がゆめに見たと言うことに知らせてあるため、それに一族は皆、大喜びした。

その肖像画も、クラリスが嫁いだあとに新しい当主が片付けてしまっていたようだが、その当主も烙印持ちとなり追い出されたため、今はその息子が跡を継いで、その肖像画も飾られているようだ。

フィオレンティーナは、その横に夢で見た彼女が手掛けた庭の刺繍をその家に贈った。

一緒に飾られているようだが、まさか、それが前世の自分にそっくりなものとは思わなかった。


(よかった。遊びに行く前で。危うく、肖像画を見させてもらう時にこんな風に呼ぶとこだった)


「え? おばあちゃん!?」


フィオレンティーナは、つい前世の祖母をいつものように呼んでいた。だが、周りは周知の事実のようになっていたので、何も言わなかったが、クラリスの実家では決してできないし、他の人の前でも控えなければならない。

そんなことを1人悶々と考えていると……。


「そうか。フィオレンティーナ様の前世は、この方に似ていたのだな」
「可愛らしい方ですね」
「そうだな」
「……」


前世の顔をまじまじと見つつ、2人は隣にいるフィオレンティーナを見た。何やら比べられているようだ。

何を比べる必要があるのだろうか?


「?」
「どちらも、その可愛らしいと思うが……」
「俺は、今のフィオレンティーナ様の方が好みです」
「っ、そ、そうだな。私も、そう思っていた」
「えっと、無理しなくていいよ?」
「「してない!/してません!」」
「あ、そう。それなら、……いいのかな?」


そんな会話をして、リュシアンとコルラードは顔を赤らめ、フィオレンティーナもつられるように頬を赤くしながら、熱くなり始めた頬を両手でおさえた。サラウンドで褒めるのはやめてほしい。ただですら、妖精の血が影響して美形に拍車がかかっているのだ。

これも、花の守り手の婚約者になったからのようだ。魅力的になっていくのは、勘弁してほしい。


(傍目から、見ている方が性に合っていたわ)


熱くなった頬をフィオレンティーナは仰ぐのに忙しかった。

それをクラリスたちは、微笑ましそうに見ていた。

ふと、手首に不思議な感覚がした。


「あ、咲いた」
「え?!」


そんなことを話していたら、突然、花が咲いたのだ。


「素晴らしい!」
「ふむ。これは、婚約者に頑張ってもらうのが一番手っ取り早いみたいだな」


どうやら、花の守り手は婚約者たちに溺愛される必要があるようだ。

リュシアンとコルラードは目をあわせて、そこから怒涛の熱烈アプローチが始まることになったり、2人でも腰が抜けて大変だというのにこのあとも婚約者が増えることになるとは思わなかった。


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