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第3章
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しおりを挟む学園に普通に入れたことから、フィオレンティーナもリュシアンたちと一緒になって学園に通うことになった。
王や王子たちなどが、こぞって烙印持ちとなって追放処分となり、オギュストが王の代理をすることになって慌ただしい日々がすぎていた。
もっとも慌ただしいが、フィオレンティーナでははやることができて忙しくできてご機嫌だったりする。
理事長も、オギュストからジョスランの父親が引き継ぐことになり、フィオレンティーナを人間ごときが花の守り手になれるわけがないと色々言っていた者たちも、烙印持ちとなり、みんな一族の恥だとして叩き出されて、学園の中も、フォントネル国の中も平和となった。
前世の祖母は、烙印持ちとなった者たちによって亡き者になりそうになり、妖精たちが守ろうとしてあの世界に迷い込むことになったようだ。
たった1人で、知り合いもいなければ、妖精もいない世界だ。どれほど心細い思いをしたことか。
それを思うとそんな祖母より先に死ぬことになり、魂だけで孫だった者が戻って来たのだ。
(おばあちゃんも、ここに戻りたかっただろうな)
そう思えてならなかった。だが、ここも祖母には知り合いのいない世界になっている。今更、来るより、これまで世話していた花たちに囲まれている方を選ぶかもしれない。
そんなフィオレンティーナと違い、キャトリンヌは実の弟が先導してフィオレンティーナを悪く言っていたのが、どうしても許せなかったようだ。彼女のみならず、彼女の両親も同じように顔向けできないかのようにしていて、クラリスやペトロニーユ、ジョスランたちとフォローするのが大変だった。
キャトリンヌは、婚約も破棄してくれとまで言い出して大変だったが、ジョスランが熱烈にキャトリンヌ以外を妻にする気はないと言っていて、それを妖精たちも一緒になって応援していた。
「他の女性なんて、つまるところにする気はないんだ」
「……」
「キャトリンヌ。君との婚約が駄目になったら、私は一生独り身でいる」
「っ、駄目! 結婚して!」
「してくれるのか?!」
「しない!」
他の人としろと言うキャトリンヌにジョスランは、他なんていないと言い合っていた。
キャトリンヌとしては、他の人と幸せになってほしいと言いたいようだが、ジョスランは他の人とでは幸せになれないと言っていて、平行線をたどっていた。
その周りで、ジョスランを応援していたのは、フィオレンティーナが見えているより大勢いた。妖精たちが、ジョスランを応援しているらしい。
もっとも、フィオレンティーナには、未だに妖精は見えはしないし、声も気配もわからないが。
必死に説得するジョスランの熱烈さにフィオレンティーナも含めて、破棄するとかたや頑張り、かたやさせまいとしている2人の母親やクラリスたちは、キャーキャーと騒いでいた。が、時折、ジョスランに邪魔だとばかりに睨まれて、静かに見守るようになった。
フィオレンティーナは、そんなことを言われているキャトリンヌがちょっぴり、いや、かなり羨ましく思えてしまっていたのは、内緒だ。フィオレンティーナとて、乙女なのだ。言われたい。
(私は、命の危機と蔦が決めたのよね)
色々あって、蕾も増えたが、まだ咲きそうにない。犬の尻尾のように喜怒哀楽を表現していたが、今はそれも大人しくなりつつある。成長したと言えるのだと思いたい。
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