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第2章
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しおりを挟むしばらくして、ようやくチェレスティーナは母親からの手紙が届いたことにうきうきしていた。
返事が来るまでしつこく手紙を書いた甲斐はあったと思っていた。
喜んでもらえて、またガーデンパーティーに人を呼べるようになったという内容だと決めつけていた。
そうなっていて、チェレスティーナに前のように何でも好きなものを買ってくれるとまで言う内容のものに違いないと思っていた。
そうなるしかないと思っていて、チェレスティーナは何を買ってもらおうかと返事が来るまで、そのことばかりを考えていたのだが……。
「なっ、何よ。これ!?」
褒められることなど一文もなかった。とんでもないことを知らせたせいで、大恥をかいたと母親から文句の手紙を受け取ることになったのだ。
「っ、何でよ。流行るのは、確実なのに」
チェレスティーナは、良かれと思って知らせたのに。散々なことになったと怒り狂う文面に正直焦った。
たかが、あんなもので、そこまでになるわけがない。大袈裟すぎると思いながらも、成績もよくないチェレスティーナは、家に戻ったところで怒られることになるのは確実だと思い始めて顔色を悪くさせた。
そうならないために手紙を書いたのにこれでは意味がないではないかと思ってチェレスティーナは、イライラした。
それでも、授業に出ないわけにはいかなかった。成績がいまいちで好き勝手が許されていた頃は大目に見てもらえていたが、今は授業にきちんと出ないと宿題が出されてしまうのだ。
ただですら、授業がわからないのに宿題なんてもっとわからない。そのため、ずる休みなんてできなくなってしまっていて、チェレスティーナは益々イライラしていた。
寮へ帰ろうとしているとチェレスティーナの目に入ったつりかごがあった。それが妬ましくて仕方がなかった。たかが、見習い風情が考えた程度で、何でそこまで母に怒られなきゃならないのかと思えてならなかったのだ。
チェレスティーナは、それを怒りの赴くままに蹴り飛ばしていた。留学生たちが絶賛していたのも、嘘に違いない。あの話をしていた令嬢たちは、わざと自分に聞かせたのだと思った。
腹ただしげにしているチェレスティーナが倒したつりかごに八つ当たりしていたことに気づいて、フィオレンティーナはすぐさま駆け寄っていた。
「チェレスティーナ! 何をしてるの?! やめなさい!」
「フィオレンティーナ」
妹が足で行儀悪く蹴り倒したそれを直そうとするフィオレンティーナにチェレスティーナは、イラッとした。自分のことを咎めるなんて、フィオレンティーナごときがありえないとチェレスティーナは思ってフィオレンティーナを思いっきり突き飛ばしていた。
「っ!?」
「私に指図しないで! あんたなんかに何も言われたくないわ!!」
それでも、フィオレンティーナはチェレスティーナから花を守ろうとした。それに益々苛ついて、チェレスティーナはフィオレンティーナを蹴りつけ続けることをやめなかった。
「っ、」
「何なのよ! たかが、こんなものために!!」
「っ!?」
花をグシャ!とチェレスティーナが踏み潰したのを見てフィオレンティーナは目を見開いた。
(何で……? 何で、そんなことをするの?!)
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フィオレンティーナは、己の命が終わる直前でも、そんなことを思い、今もその気持ちが変わらずに胸を痛めていたのだ。
「もう、やめて!!」
「っ、」
花に罪はない。何が気に入らないのかはわからないが、チェレスティーナが当たり散らす姿にフィオレンティーナは泣き叫んでいた。
するとピカッ!と強い光をフィオレンティーナの身体から放つことになった。その眩しさにチェレスティーナは、目をつぶった。
「何なのよ!?」
「ごめんね。ごめんね」
フィオレンティーナは、蹴りつけられて身体が痛かったが、踏み潰された花にひたすら謝罪して涙していた。
(私のせい。あの時も、今も、みんな、私のせいで、こんなことになってる)
チェレスティーナが何に苛ついて当たり散らしているかなんてわからないのに全てが、自分のせいだとフィオレンティーナは思えて悲しくてたまらなくなっていた。
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