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第2章
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しおりを挟む何やら騒がしい声が聞こえて、フィオレンティーナは不思議そうにしながら、やって来た。
「どうかしましたか?」
「フィオレンティーナ様。それが……」
「?」
フィオレンティーナは、コルラードからざっくりと話を聞くことになった。
(なんか、凄いことになってるわね)
話を聞いてフィオレンティーナは、そんなことを思ってしまった。
「う~ん。留学生の皆様に販売したとなると問題になるかも知れませんね」
「むぅ~」
「親方さんたち庭師からプレゼントというのでは、どうですか? 一応、学園長にも話して、乗っかるようなら、その分、予算を出してもらうとか?」
「広める! 素敵、伝わる!」
キャトリンヌは、ここが素敵なところだとわかってもらえるいいチャンスだと言いたいのだろう。
「でも、ここでは、彼は見習いの庭師ですから、販売するなら問題になるかと」
「キャトリンヌ。見習いが販売していたと知られたら、ここの庭師みんなが問題視されかねないぞ」
「ん、みんな、国、来る! 問題ない!」
「キャトリンヌ。それだと、こっちに誰も来なくなる」
「むぅ~」
キャトリンヌは、リュシアンに言われて、チラッとフィオレンティーナを見て、しょぼくれた。
フィオレンティーナは、キャトリンヌがしょぼくれる理由がわかっていなかったため、不思議そうにした。
キャトリンヌは、ここに留学生が来たがるようにしたかったのだ。素敵なものを生み出す国だとわかれば、理事長が説得せずとも短期間でも留学生が来るようになる。この学園の花たちを見れば、来たことで不満もなくなるはずだ。
だが、そうなる前に庭師に直接注文すると駄目だとなって、雇えばいいと思ってしまい、本末転倒になってしまっているのだ。
何かと頑張っているのだが、空回りしている状態なのだが、フィオレンティーナが販売するならこの国より、彼らの国の方が売れ行きがいいのだろうなとは思っていた。
(確かにこれは、見ていて和むものね。これの良さが、この国の人たちに伝わるかと言ったら、難しそうだし)
そんなことを思って思案していた。それこそ、隣国で人気だとなれば、良さがわからなくとも、この国の貴族は庭に飾るだろうが。
(その時に一緒に植える組み合わせを間違えたら、大変なことになる。ここの庭師でも、ジェズアルドさんたちに花たちの相性をしっかり把握している庭師の方って少ないようだし)
貴族たちは流行りものは好きだが、その知識が乏しいのだ。それで、せっかくの花がすぐに枯れることになったり、花のつきがいまいちになってしまう。そうなれば、目も当てられないことになる。
コルラードが考えたつりかごには、組み合わせにも拘っていた。長持ちして、倒れにくいようにもしたのだ。それでも、水やりは気をつけなくてはならない。
(こまめに夏場はこまめに水を吹きかけてやらないと駄目そうね。寒くなったら、家の中に飾るようにしたり、花を入れ替えても楽しめるとは思うけど)
フィオレンティーナは、そんなことをあれこれ考え始めていた。フィオレンティーナにとっては、花のことを考えていることが楽しくて仕方がなかった。
留学生の国に行くことなど、考えてもいなかった。見たい気持ちがないわけではないが、それを家族が許すわけがない。
それがわかっているのだ。そんなことを考えるよりも、楽しいことを考えていたかった。
叶わない夢を追いかけるより、諦めることにするのは前世でもしていた。それに比べれば、フォントネル国に行けないことなんて、フィオレンティーナにとって大した悩みではなかった。
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