前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです

珠宮さくら

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第2章

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キャトリンヌの突然は、ここでも健在だった。


「フィオレンティーナ、一番、どれ?」
「え? お花の一番ですか?」
「ん!」


キャトリンヌに聞かれて、フィオレンティーナは本気で悩み始めてしまった。それこそ、ブツブツと色んな花の素敵なところを口にしていた。

妖精たちは、色々言われている時にそれぞれの妖精が大はしゃぎしていたが、フィオレンティーナの花の知識は底知れないものがあった。

それは、いつまで続くのかと思うほど長かったが、最終的には……。


「ご、ごめんなさい。選べません」
「「「っ!?」」」


涙目になりながら、フィオレンティーナは頭を下げた。

それを見聞きしていた妖精たちを留学生たちは見ていた。

それこそ、一番は自分だと妖精たちはフィオレンティーナの周りで喧嘩はせずにアピールしていたのだが、選べないと泣いたことで、不自然に固まったかと思えば、妖精たちはアピールしていたのを忘れて、オロオロし始めたのは、すぐだった。

それを見聞きできているのは、フィオレンティーナ以外だった。

キャトリンヌは妖精と同じく、オロオロしていた。フィオレンティーナを泣かせたことにどうしていいかがわからなくなって、ジョスランに抱きついていた。

ジョスランも、フィオレンティーナの泣きそうな顔にどうしていいかがわからないようだ。


「それぞれ、素敵なので、私には選べません」
「……毒を持つ花でも、嫌ではないのか?」
「嫌……? そんなこと思ったことないです」
「っ、」


そう言いながら、毒というか。知らずに触って被れた話をした。それこそ、そんな風に人間を被れさせるようなのを植えていては、他の人にも迷惑だと思っていたが、そういう植物の花咲く姿を見て学んだと話したのだ。


「私が無知なせいで、被れてしまっただけなのに花咲くところも、それが薬に用いられる貴重なものだとも知りませんでした。不思議な花もたくさんありますけど、個性的で私は好きです。一番と言われると決められないです」


リュシアンは、それに驚いていた。フィオレンティーナの言葉に周りで妖精たちが無邪気に戯れていた。

それらは、留学生たちが知る限り、そんなに仲良くしているような妖精の組み合わせではなかった。

だが、そんなフィオレンティーナだからこそ、こんなにも妖精たちに好かれているのだろうと頷けた。

全ての花を愛し、その花たちの結晶のような妖精たちに愛されている人間。

だからこそ、妖精の血を引く留学生たちすら魅了していると思わざるおえなかった。

そして、何より妖精たちに誰よりも好かれている。嫌いなど到底できるわけがない。彼女の愛情は、花に対して底なしなのだ。

だから、喧嘩ばかりしていたり、険悪だった妖精たちが手に手を取って楽しげにしているのをここでは当たり前のように見ることになったのだ。

リュシアンは、この国に来たことを心から感謝した。それでも足りないほどの満ち足りた気分をフォントネル国でも持てなかったものを得ることができた。

あれだけ力説されて、理事長の言葉に甥として動くことにしたが、もっとシンプルに考えればよかったのかも知れない。

オギュストが、この国からご機嫌で戻って来て、留学することをすすめたのだから。

それに一番に行くと反応したのは、キャトリンヌだった。思い返せば、キャトリンヌが即座に行くと言ったことをもっとよく考えればよかったのだと思い始めてもいた。


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