前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです

珠宮さくら

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第2章

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隣国の学園の理事長をしているオギュスト・ルデュックは、留学生たちから、留学するなり長期の留学に変更したいと報告を受けることになり、それを知ってにこにこしていた。行ってすぐにそんなことを言うほどだったことが、嬉しくて仕方がなかった。

それどころか、素晴らしいものを学園で見たと知らせてきたのだ。それを知って、自分も見に行きたいとすら思っていた。オギュストは、知らせを聞いてから、ずっとウズウズしていた。


「どうかされました?」
「隣国の学園も、素晴らしい庭師を雇ったようだ。生徒が、短期間の留学から、みんな長期間の留学に変更したがっているんだ」


オギュストは、妻のクラリスにその話をした。


「まぁ、それは素晴らしいですね。まだ、留学して間もないのに。そんな庭師なら、こちらで雇い入れたいものですわ」
「そうだな」


オギュストも同じことを思い、子爵家の庭師について調べたことを思い出していた。なぜか解雇されていた。別の庭師になってから酷くなってガーデンパーティーに人が寄り付かなくなったと報告があがっていた。

つまりは、学園の花たちに留学生たちが感激しているところをみるとそちらに雇われたのではなかろうかと思っていた。

それこそ、そんな評判のいい庭師ならオギュストも雇いたいと思っていた。クビになっても、雇う先に困らないと甥が言うほどだ。

しかも、安い給料で仕事をして、学園長が無理なことを言って、最低でも半年はかかりそうな仕事を短期間で終わらせるように仕向けたのだ。それが上手くいかなければ、クビにするとまで言っていたようだ。

それを知って、無報酬で手伝いを申し出た庭師たちが徹夜をして、留学生たちが到着するぎりぎりに出来上がったようだ。

妖精の血を引いていなくとも、そういう才能があるのなら、雇入れたところで問題にはならない。こちらで家族で暮らしたいと言われるとそれなりの才能がないといけないが、あの三人が雇入れて問題ないというなら、そこも問題にはならないだろう。

それを見て、留学生たちは全部を把握したほどだ。妖精たちが伝えたくなるほどなら、なおさらだ。

学園長は、全くわかっていなかったようだが。

それをクラリスが言葉にして、考えることは一緒だと思っていた。そうなれば、クラリスにも素晴らしいものを見せてやれる。

だが、まさか、庭師でなくて、貴族令嬢がそのことに大きく関わっているとは思いもしなかった。

その大事な部分をおしゃべりな妖精たちがしなかったのだ。それは、その人間が困ることだと思っていたからだ。

また、閉じ込められてしまっては可哀想だと黙っていたとは、誰も思っていなかった。そんなことをする妖精なんて、オギュストは見たことも聞いたこともなかった。

いや、妖精の血を引く者たちの誰もが見たことも聞いたこともなかったはずだ。

しかも、相手は妖精の血を1滴も通っていないただの人間。そんな人物のために妖精たちがおしゃべりをしないなど、あり得ないことだった。

それが、どれほどのことかなんて、オギュストたちが住んでいる国では説明されずとも十分にわかることだった。

フィオレンティーナも、周りも、そんな風にして妖精に守られていることに気づいていなかった。


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