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第2章
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しおりを挟む「……ちょっと、それだけなの?」
「それだけって?」
フィオレンティーナへの八つ当たりが不発になり、その代わりにされた令嬢は、不思議そうな顔をしてチェレスティーナを見て、何を言われているのかに気づいていない顔をしていた。それどころか、チェレスティーナを馬鹿にしたような余裕すらあった。
それにチェレスティーナは、更にイライラし始めた。それを周りに見られていて、笑いそうになっているのを耐えている者もちらほらいたことにも気づいていなかったし、そんな余裕は彼女にはなかった。
「何なの? もう、あなたのところを呼ばないわよ?!」
「……」
そういえば、平謝りするものとチェレスティーナは思っていたが違っていた。
言われた令嬢は、物凄く白々しく驚いてみせたのだ。
「呼ぶ気でいたの? 迷惑だから、やめてよね」
「何ですって?!」
「それともう話しかけて来ないで。あなたみたいなのと友達だと思われたくないわ」
「っ、」
チェレスティーナは、それに物凄く腹を立てた。
彼女と一緒の令嬢たちにこう言ったのは、すぐのことだった。
「ちょっと、あなたたち、そんなのと一緒にいる気なの?!」
「友達だもの。でも、私も、あなたと友達だと思われたくないから、話しかけないで」
「っ、」
殆どの令嬢たちが、そんなことをチェレスティーナに言ったのだ。そんなことを言われたのは、初めてだった。
それにチェレスティーナは、フィオレンティーナが何かしたと思ったのは、すぐだった。そうでなければ、おかしいとすら思った。
「フィオレンティーナが、何かしたのね」
憎しみのこもった声を出したチェレスティーナに呆れた声を出した令嬢は、フィオレンティーナのせいにするのにため息をついた。
「何、言ってるの? あなたの家のことじゃない」
「え? 家……?」
突然、そこに家の話が出できたことにきょとんとしたのだ。
その間抜けっぷりにわざとらしく、こう言った。
「やだ。本当に知らないのね」
呆れ返った一人が、知らないチェレスティーナに話して聞かせた。
その間に周りはひそひそと話していた。知らないなんて、あり得ないと笑っていたが、チェレスティーナにはそれを聞く余裕はなかった。
「あなたの家が散々なガーデンパーティーを開いて、笑い者になったのよ」
「そうそう、お母様が、教えてくれたのよ。今までで一番最低最悪なガーデンパーティーだったそうよ」
「そんな、何かの間違いよ!」
チェレスティーナは、間違いだと思ってあざ笑う令嬢たちの言葉を信じていなかった。
「あら、我が家もよ」
「私も、手紙が来たわ」
「お父様は、お母様の代わりに行ったのに。あんなのに参加してたのかって、喧嘩になったそうよ。私まで、怒られたわ。私が見た時は、素晴らしかったのに。今は見る影ないみたいで、どうかしているみたいに言われたわ」
「っ、」
チェレスティーナは、それを聞いて悔しそうにしていた。何かの間違いだと思っていて、家に確認することはしなかった。
その内、落ち着くと思っていたが、前のように誰も彼もが自分に必死に媚びを売ることは、二度となかった。
チェレスティーナが憤慨していなくなってから、ぽつりと呟いたのは、それまでチェレスティーナと話していた令嬢だった。
「それにしても、あの令嬢の装飾は、相変わらずセンスの欠片もないわね」
「本当よね。私、笑うのを我慢するのが毎回、大変なのよ」
「私もよ」
チェレスティーナは、色んな令嬢からもらった装飾品を付けていたが、チグハグすぎて笑えた。
「でも、あれはまだマシよ。制服だもの。私服を見た? もっと笑えるわよ」
「そんなに?」
「ガーデンパーティーのドレスも、酷かったものね」
「そうそう、母娘が揃って、センスの欠片もないのを纏うから毎回、笑いを耐えるのが大変だったわ」
そんな風に笑われるようになったのも、この頃からだった。みんなもそう思っていたようで、チェレスティーナのセンスのなさによく笑っていた。
貴族たちが、チェレスティーナのことでよく笑っているのを平民は聞いていた。
それが気になって、わざわざ休日にチェレスティーナの私服姿を見た者は大笑いしていて、平民出身の者たちにもチェレスティーナのセンスの無さは学園で知らぬ者がいないほど広まったのは、あっという間のことだった。
そのため、チェレスティーナを見つけると笑いたくなる者がそこかしこにいて、チェレスティーナは自分が笑い者にされていることにも、センスの無さはにも気づくことはなかった。
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