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第2章
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しおりを挟むそんなことを思いながら、花を見ることで癒されながら学園生活を送っていた。それは両親の言いつけ通りにフィオレンティーナが普通でいるのを守っているつもりだった。
つもりというのも、貴族令嬢の普通を両親にきちんと教えてもらったことがないせいだ。見て覚えろと言ったら、チェレスティーナのようになっている。
それが普通だとしたら、流石にフィオレンティーナは妹を真似るのは勘弁してほしかった。でも、特に何も絡まれることがなかったため、フィオレンティーナは彼女の思う普通のことをしていた。
そんなある日のことだ。学園で雇われている若い庭師の見習いであるコルラード・ディズラエリという少年が、フィオレンティーナは気になって仕方がなかった。
彼は短髪で、目つきが鋭いところがあった。そのせいで、貴族たちに色々言われていたようだ。
彼的には、睨んでいるつもりはないようだ。多分、目が悪いだけだろうが、その鋭さのせいで睨みつけていると思われて、貴族たちから色々言われていたようだが、そんな見た目や目つきの悪さを気にかけているわけではなかった。
「……何だよ?」
視線を感じて、コルラードはそんなことを言って、本人は睨むつもりはのようだが、傍から見ると睨んでいるように見えた。
それこそ、貴族にそんな口の聞き方をしたら、咎められることだが、フィオレンティーナがそんなことで怒ることはなかったし、睨まれているように見えても気にもしなかった。
これまでも、それで色々あったようだが、彼は自分の言葉遣いに問題があることにも、目つきが悪いことにも気づいていなかったようだ。
「あの、その花は、そこより、風通しのよいところの方が、花が長持ちして、長く咲きますよ」
「は?」
そこから、フィオレンティーナは植え方についても気になることをその見習いに話した。
だが、見習いは貴族令嬢が言うことをよく知りもしないくせに偉そうだと感じたのは、すぐだった。
もっともまくしたてるようにフィオレンティーナは言いたいことを言ったのだから、フィオレンティーナにも問題があったのは確かだ。
「……何だよ。偉そうに言って、変な女」
それでも、話すだけ話してスッキリした顔をして立ち去るフィオレンティーナを見て、コルラードは眉を顰めていた。
だが、フィオレンティーナは見習いとはいえ、言いたいことを言えたことにウキウキして、そんなことを言われていたとは知りもしなかった。
もっとも、偉そうにしているつもりなどフィオレンティーナは全くないが、変な女なのに当たっている。それが、もし聞こえていたら、そんなことを思う程度で怒りはしなかっただろう。
確かに変な女だったと反省はしたかも知れない。貴族だろうと相手が平民であろうとも、初対面だったのだから、フィオレンティーナに非があったと余裕があればすぐにわかることだったはずだが、そんな余裕までなかったようだ。
フィオレンティーナは、そういう令嬢だ。何でもないように日常を過ごしているが、心の傷はすぐに癒えることはなかったのだ。
それに本人が気づいていないのが一番の問題だったが、そこに至るまでの道のりは長くて周りが察するしかなかった。
それこそ、フィオレンティーナでなければトラウマになっていてもおかしくなかったが、フィオレンティーナはそこまでではないと思っていた。
何にせよ。コルラードとのファーストコンタクトは、お互い真逆なものになったのは言うまでもない。
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