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しおりを挟む何はともあれ、これで心置きなく勉強出来ると思っていたら、この国の王太子殿下に見初められてしまった。
「今更、妃教育をするくらいなら研究室に数年こもりたいというのが、私の本音です」
それを言うと王太子殿下に大笑いされた。
(本音なんだけど)
「ふむ。なら、私の婚約者になったら、閲覧禁止の本を読み放題になると聞いたら答えは変わるのかな?」
「っ、?!」
閲覧禁止の書庫を読めるというのには、ペチュニアの気持ちはおおいにぐらついた。それには複雑な顔をされたが、彼女は正直なだけだ。
「……しばらく、考えさせてください。義両親とも話をしないといけませんので」
一応、そう答えた○○だが、義両親に説明しつつ、どうしたいかと聞かれて、バカ正直に答えた。
「閲覧禁止の本に魅力を感じています」
「……ペチュニア」
「あらあら、王太子も大変ね」
義両親は苦笑していた。とりあえず、ゆっくりと考えていいと言われるも、気になるのは書庫の本のことだ。
(何で、こんなにも書庫の本が気になるのかな?)
不思議でならなかったが、王太子妃となって、あの国のパーティーに出席することになった。
あの時の王子も、側近たちも勘当されて、平民となっていて会うこともないという理由も大きかった。
だが、そのパーティーで自分と同じ名前の男爵令嬢が暴れていることに物凄く驚いてしまった。
「私が、ヒロインなのよ! 何で、私の知ってるゲームと違うことになってるのよ!」
「?」
「なんだ。あれは?」
ぎゃーぎゃーと騒いで、衛兵に捕まえられて会場からいなくなっても大声で見苦しく騒いでいるのはわかった。
その単語に聞き覚えがあったペチュニアは、自分が転生者で乙女ゲームの世界にいたのだと気づいた。
(でも、さっきのも男爵令嬢で、同じ名前だったわよね……? もしかして、バグった?)
だから、王子やその側近たちは、異常行動に出たのではなかろうか。ペチュニアは、勉強ばかりしていて、イベントもにちっとも始まることはなかったはずだ。それを軌道修正しようとして、王子たちはおかしくなっていたとしたら……?
(ゲームの世界といえども、ここに転生してしまった以上は今更、やり直すわけにもいかないわけだし。人生、満喫したもの勝ちよね)
新しい知識に貪欲だったのも、ペチュニアの前世が病弱だったことが原因だったようだ。
まさか、王太子妃にまでなり、一般人が必要としていないことまで教わる機会に恵まれるとは思っていなかったが、ペチュニアは転生させてくれた神様に感謝した。
(多分、元気だけが取り柄のヒロインが羨ましかっただけで、ヒロインのように見目麗しい男性を選び放題なことには関心なかったのが、伝わってなかったのね)
「どうかした?」
「……幸せだなと思って」
「っ、そうだな」
王太子は、知識欲の塊なようなペチュニアが、珍しくそんなことを言って照れていたが、どういう経緯で、その言葉が出たかを知ったら、また苦笑していたことだろう。
ペチュニアは、事実を知っても全く変わらずに病気とは無縁の人生をまっとうすることが出来た。
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